【米国市況】株が大幅反発、ユーロ上昇-逃避需要後退しリスクオン
Rita Nazareth
Traders work on the floor of the New York Stock Exchange (NYSE) in New York, U.S., on Monday, Jan. 3, 2022.
Photographer: Michael Nagle/Bloomberg15日の米金融市場では株式が大幅反発し、国債とドルが下落した。地政学的な緊張が緩和しつつあるようだとの見方が広がり、インフレ高止まりを示す経済指標は影が薄れた。
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S&P500種株価指数は4営業日ぶりに上昇。ロシアのプーチン大統領は米国およびその同盟国との間の緊張状態について、外交による解決を望んでいると述べたほか、ウクライナ国境付近に集結させている部隊の一部撤収を明らかにした。西側諸国の当局者はこの動きを歓迎する一方、実際に部隊が撤収されていることを検証する必要があるとした。
S&P500種は前日比1.6%高の4471.07。ダウ工業株30種平均は422.67ドル(1.2%)高の34988.84ドル。ナスダック総合指数とナスダック100指数はそれぞれ2.5%上昇。米国債市場ではニューヨーク時間午後4時10分現在、10年債利回りが6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.05%。
インフレ圧力や米金融政策の緩和解除に対する懸念、そしてウクライナを巡る危機を受け、金融市場はこのところ不安定な値動きを見せている。この日発表された1月の米生産者物価指数(PPI)は市場予想を上回る伸びとなり、インフレ圧力の根強さを示した。
Eトレード・ファイナンシャルの投資戦略担当マネジングディレクター、マイク・ローウェンガート氏は「インフレとの結びつきが強い米金融当局の行動計画を巡る観測が相場変動を増幅させてきたのは間違いないが、同時に地政学要素も相場のボラティリティーを高めてきた」と指摘。「少なくとも現時点ではロシア・ウクライナ間の緊張は弱まりつつあるようで、いくらかの確実性が市場に好感される可能性はある。PPIは市場予想を上回ったが、高インフレは相場にすでに織り込まれていたかもしれない」と分析した。
外国為替市場ではユーロが対ドルで3営業日ぶりに上昇。ウクライナ情勢を巡り、ロシアが一部部隊の基地帰還開始を発表したのが背景にある。安全逃避需要の後退で円やスイス・フランは下落。ノルウェー・クローネは原油相場に連れ安となった。
主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.3%低下。ニューヨーク時間午後4時10分現在、ドルは対円で0.1%高の1ドル=115円63銭。ユーロは対ドルで0.5%高の1ユーロ=1.1359ドル。
ニューヨーク原油先物相場は大幅反落。ロシアがウクライナ国境付近に配備している一部部隊について所属基地に帰還し始めたと発表したことから、最近の相場上昇につながっていた地政学的な緊張が和らぐとの見方が広がった。
オアンダのシニア市場アナリスト、エド・モヤ氏は「ロシア国防省が一部部隊の帰還開始を発表したことを受けて原油に利益確定の動きが出たのは必然的だった」と指摘。「ウクライナ情勢はまだ緊迫しており、原油価格が上下いずれの方向にも10ドル変動することはあり得る」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物3月限は、前日比3.39ドル(3.6%)安の1バレル=92.07ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント4月限は3.20ドル安の93.28ドルで終えた。

ニューヨーク金相場は反落。スポットは一時約2週間ぶりの大幅安となった。ロシアが部隊の一部撤収を発表したことが背景。
スポット価格はニューヨーク時間午後3時6分現在、前日比0.8%安。一時は1.4%下げる場面もあった。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は、0.7%安の1オンス=1856.20ドルで終了した。
原題:Stocks Rally in Risk-On Day as Haven Allure Ebbs: Markets Wrap(抜粋)
Euro Rebounds, Haven Demand Ebbs on Ukraine News: Inside G-10(抜粋)
Oil Drops After Russia Says Some Troops Returning to Bases(抜粋)
Gold and Wheat Drop as Russia Says It’s Pulling Some Troops Back(抜粋)