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北京五輪目前の中国に懸念、国会が人権決議採択へ-企業対応に影響も

  • ウイグルや香港の人権状況へ懸念、「中国」と記載しない配慮も
  • 20年の対中貿易比率は過去最高、日本企業は人権対応に遅れ
The Japanese national flag next to the National Diet building in Tokyo, Japan

The Japanese national flag next to the National Diet building in Tokyo, Japan

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

 

中国を念頭に人権問題に懸念を示す国会決議が、北京冬季五輪開幕を前に採択される見通しだ。国会が態度を明らかにしたことで、欧米と比べ遅れていた日本でも企業に人権への配慮を求める動きが強まるとの見方が出ている。

  決議案では、新疆ウイグル自治区や香港で「信教の自由への侵害や強制収監をはじめとする深刻な人権状況への懸念が示されている」と明記した 。ただ中国側に配慮して「中国」との国名は記載せず、「人権侵害」や「非難」の文言も使用しない。ウイグルでの弾圧を「ジェノサイド(民族大虐殺)」と認定する動きが広がる欧米各国と比較すると、かなり表現を抑えている。

  共同通信によれば、2月1日の衆院本会議での採択を目指し、各党が最終調整している。昨年の通常国会や臨時国会での採択を目指したものの、各党の調整がつかず見送られていた。自民党内の親中派や、中国との関係が深い公明党は踏み込んだ決議には慎重だった。

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新疆ウイグル自治区の住宅地にある中国の国旗(2019年撮影)
Photographer: Greg Baker/AFP/Getty Images

  人権外交を考える超党派議員連盟の共同代表を務める国民民主党の舟山康江参院議員は、欧米が人権侵害への配慮を求める中で日本企業も対応を求められており、「企業に対して問題意識を喚起していかないと、ビジネスの世界で置いていかれる」と指摘。日本でも法整備を含めた対応を加速させるべきであり、「国会決議は大きなステップの一つ」だとした。

  中国の人権問題を巡っては、国際社会の批判が高まり、影響は経済面にも広がっている。米国のバイデン大統領は昨年12月、ウイグル強制労働防止法案に署名。強制労働で生産されたものではないと企業が証明できる場合を除き、新疆ウイグル自治区からの産品の輸入が禁止されることになる。  

  昨年1月には米国でファーストリテイリングが展開するユニクロの男性用の綿シャツ輸入が差し止められたほか、3月には中国で外国ブランドの不買運動が活発化する懸念が広がり、「無印良品」を展開する良品計画の株価が一時急落した。

貿易総額に占める相手国比率

出所:財務省(2020年)

  人権侵害のリスクを調べる人権デューデリジェンス(人権DD)を企業に義務付ける法整備が欧米で進む一方、日本は後れを取っている。経済産業省が昨年11月に公表した調査によると、人権DDを実施している企業は5割にとどまる。調査は東証1部・2部上場企業など2786社を対象にしたが、回答したのは3割弱の760社だった。

  日本にとって中国は、輸出入総額の2割以上を占める最大の貿易相手国であり、対応に苦慮する企業も多い。20年の貿易総額が新型コロナウイルスの影響で1割程度減少する中でも対中貿易額の減少幅は小さく、日本の貿易に占める中国の比率は過去最高となった。

中国側は内政干渉と主張

  中国は、ウイグルでの人権侵害はないと主張しており、各国の対応は内政干渉だとの認識を示している。米国と英国、カナダ、欧州連合(EU)が人権侵害を理由に制裁を発動したことで中国では欧米の小売企業に対するボイコットが広がっている。

  岸田文雄政権では人権担当の首相補佐官が新設され、元防衛相の中谷元衆院議員が就任した。政府は「ビジネスと人権」に関する関係省庁会議で人権DDに関するガイドライン策定を目指す方向だ。来月4日に開幕する北京冬季五輪でも、欧米に歩調を合わせ、閣僚ら政府代表の派遣を見送る方針を発表している。

  人権外交議連で舟山氏とともに共同代表を務める自民党の斎藤健元農相は、対中貿易額が大きいのは「米国も欧州も同じだ」と指摘。今のままでは「日本だけが人権を無視してもうけているとの批判をされることにもなる」と懸念する。今年は日中国交正常化50周年だが、「友好関係は維持しつつ、日本がもっと中国に対して人権問題を発信すべきだ」と語った。

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