FRB、20%余りの株安容認も-ブリッジウォーター幹部
Erik Schatzker-
米連邦準備制度の観点からすれば資産価格の下落は悪いことではない
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「FRBプット」と呼ばれるような状況からはまだ遠い

Traders work on the floor of the New York Stock Exchange in New York, U.S., on Tuesday, Aug. 2, 2011.
Photographer: Jin Lee今の金融市場で最大の問題は、米連邦準備制度がどの程度まで米国株の下落を許容するのかということだ。ヘッジファンド運用で世界最大手ブリッジウォーター・アソシエーツのグレッグ・ジェンセン共同最高投資責任者(CIO)は20%余りとみている。
ジェンセン氏の見立て通りなら、S&P500種株価指数は3500を割り込み、約2年前に始まった新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の水準近くになる。同指数の26日終値は4350だった。
同氏によれば、米インフレ率が約40年ぶりの高水準で人手が不足し、サプライチェーンの問題を踏まえて企業が在庫を積み増している今、金融当局には株安を止める理由がないというのが現実だ。
ジェンセン氏(47)はズームでのインタビューで、「連邦準備制度の観点からすれば、ある程度の資産価格下落は悪いことではなく、容認するだろう」と分析。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が相場の安定に乗り出す「FRBプット」と呼ばれるような状況からはまだ遠いとの認識を示した。
「FRBプット」は今いずこ、押し目買い投資家は新たな現実に直面

ジェンセン氏は連邦準備制度を警戒させるには15-20%の株価下落が必要だとみている。ここ数週間の値下がりは仮想通貨などの「バブルの一部を収縮させた」ため、「おおむね健全」との考えだ。
ブリッジウォーターの分析では、最近起きていることの多くは単純な足し算・引き算の結果だ。資産価格は「過剰流動性」の注入によって上昇し、当局がこうした金融刺激策を引き揚げている現在、その差を埋める「十分な買い手がいない」だけだとジェンセン氏は説明。その結果として、株式と債券の両方に影響を与える「流動性の穴」が生じているという。
同氏によると、パンデミック前で最後の株安局面となった2018年後半のようなFRBプットを期待している向きは、経済を読み間違えている。18年当時のインフレ率はFRBの目標である2%を下回り、大企業は設備投資や在庫積み増し、賃金引き上げを進めるのではなく、自社株を買い戻していた。
ジェンセン氏は「1980年代以来、問題は常に緩和によって解決されてきた。財政面でも金融面でもそうであり、緩和が大きかった国は緩和が少なかった国よりもうまくいった」と述べた上で、「今は転換点であり事態は大きく変わるだろう」と論じた。
原題:Bridgewater Sees ‘Much Bigger’ Drop in Stocks Before Fed Blinks (抜粋)