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資産9兆円余り減少、中国ハイテク業界「最良の時代」は終わったか

  • 業界大物で資産目減りが最も大きい拼多多の黄崢氏、3分の2失う
  • バイトダンスの張一鳴氏は資産増、表舞台から姿消したことが寄与か
General Views Of Beijing As Asia Pacific Economic Cooperation (APEC) Meetings Commence
Photographer: Tomohiro Ohsumi

中国インターネット業界の有力者にとって、今年は記録的な年となったが、多くの人が望んでいたような形ではなかった。

  ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、中国当局の締め付けの影響で、業界の富豪上位10人は2021年に入り計800億ドル(約9兆2000億円)の純資産を失った。目減り分は10人の資産総額のほぼ4分の1に相当し、年間では同指数が創設された12年以来の大幅減となった。

Pingduoduo CEO and Founder Colin Huang Interview
黄崢氏
Source: Bloomberg

  今年最も多く資産を失ったのは中国の電子商取引会社、拼多多(ピンドゥオドゥオ)の創業者である黄崢氏。同社の株価が70%近く下落したことで、資産全体の3分の2に当たる429億ドルが吹き飛んだ。アリババグループの馬雲(ジャック・マー)氏の資産は約130億ドル減少した。

Shrinking Wealth

China's top internet tycoons saw almost one-fourth of fortunes wiped out

Source: Bloomberg Billionaires Index as of Dec. 28, 2021

Note: YTD change for Lei Jun and Wang Xing include their share donations

  浮き沈みの激しさが特に目立ったのは配車アプリを手掛ける滴滴グローバルの創業者、程維氏。

  6月の米上場の数週間前、流通市場における同社の評価額は950億ドルに膨らみ、程氏の持ち分の価値は67億ドルに増えた。

  だが、熱狂は短命に終わった。中国当局が調査を発表し、ニューヨーク証券取引所からの上場廃止を要請して以来、同社の株価は60%余り値下がり。程氏の資産は17億ドルに目減りした。

Key Speakers At Boao Forum For Asia Annual Conference
程維氏
 

  フィンテック企業アント・グループの新規株式公開(IPO)計画が昨年、中止に追い込まれて以降、中国当局の規制強化はますます広範囲に及んでいる。アリババ、テンセント・ホールディングス(騰訊)、拼多多などの企業は独占禁止法違反や市場の秩序を乱したなどの理由で処分を受け、バリュエーションが縮小した。

  中国当局は同国のテクノロジー企業が規制を回避し、海外投資家から資金を集めるために長年活用してきた抜け穴もふさぐ計画だ。

滴滴で学んだ中国、国外IPOを包括規制へ-外国証券会社にも影響か

  香港大学アジアグローバル研究所の陳志武所長は「中国のハイテクセクターにとって最良の時代はもはや終わった。米資本市場にアクセスしなければ、同セクターの歴史は大きく異なっていただろう」と述べた。

Bytedance Ltd. Founder And CEO Zhang Yiming Portraits
張一鳴氏
Source: 30232204A

  一方、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)の創業者、張一鳴氏は今年、純資産が195億ドル増えた。この数字は同社に出資するソフトバンクグループの届け出で示されたバリュエーションに基づく。資産増はバイトダンスが非上場を維持し、市場の混乱の影響を回避したことが一因だが、当局の締め付けが強まる中で張氏が目立たないよう努めてきたことも寄与した。同氏は5月、最高経営責任者(CEO)を退任すると発表し、先月には取締役からも退いた。

  習近平国家主席の「共同富裕」の呼び掛けに応じ、個人資産が減っても慈善活動を強化した資産家もいる。 中国のスマートフォンメーカー、小米の創業者、雷軍氏とフードデリバリー事業を展開する美団の創業者、王興氏はそれぞれ22億ドルと23億ドル相当の株式を寄付した。

中国のIT長者、慈善活動に精出す-業界締め付け強化との関係指摘も

Xiaomi CEO Lei Jun Attends Redmi Smartphone Product Launch
雷軍氏
Source: Bloomberg

  ブルームバーグ・ニュースがまとめたデータによると、中国の資産家による慈善団体への寄付額は今年1-8月に少なくとも50億ドルと、前年の中国全体の実績を20%上回った。

  ジャック・マー氏ら業界の立役者が影を潜める中、中国テクノロジー業界は今後の新たな成長に向け中核的な戦略を刷新する必要があると陳所長は指摘。「過去20年間の栄光の時代をもたらした要因を業界が見直して内省した後、いずれかの時点で再び良い時代がやってくると思う」と付け加えた。

原題:China’s Tech Moguls See $80 Billion of Wealth Evaporate in 2021(抜粋)

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