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インフレにうんざりした米消費者、反撃開始へ-S&P500種弱気論

  • S&P500種、営業利益率の12カ月予想が10月に失速
  • オミクロン株が業績達成を妨害、利上げが追い打ち
A monitor displays an S&P 500 chart on the floor of the New York Stock Exchange.
A monitor displays an S&P 500 chart on the floor of the New York Stock Exchange. Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

米連邦公開市場委員会(FOMC)のタカ派転向や、新型コロナウイルスの新たな変異株出現を乗り越えて、米国株式相場の強気論はなおも健在だ。しかし上方修正を繰り返してきた企業利益見通しもついに、沈静化が見えない物価高騰の圧力によって見直しを余儀なくされる可能性がある。

  弱気シナリオを唱える主流派が指摘するのは、株式相場が昨年から着実に上昇してきた中で、S&P500種株価指数の営業利益率予想(12カ月ベース)が10月中旬に勢いを失った点だ。この失速と時期を同じくして始まった決算発表シーズンでは、投入コストの上昇と労働力不足に関する企業の警告が相次いだ。

  消費者へのコスト転嫁に成功した企業も十分にあり、株価指数レベルでの利益率は過去最高に押し上げられた。その一方で、利益見通しが最近になって伸び悩んだことでこれまでの好業績を繰り返すのは難しくなる可能性がある。需要は依然として強いものの、高インフレの定着がそれを損なうだろうとブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の米株チーフストラテジスト、ジーナ・マーティン・アダムズ氏は分析する。高い値札にもかかわらず消費者がいつまでも商品を購入し続けるのかどうか、見通しは不透明だという。

  「高価格にうんざりし始めた消費者の反撃が始まっている。それは利益率に表れるようになった」とマーティン・アダムズ氏。「営業利益率の見通しが低下する間は、価格は上昇しない」と述べた。

 

S&P 500 operating margin estimates stagnate
S&P500種営業利益率12カ月予想(白)とS&P500種(青)
出所:ブルームバーグ

米個人消費支出、インフレ調整後ベースで横ばい-価格急伸が影響 (2)   

  ウォール街のアナリストは来年のS&P500種増益率見通しとして、9%近い数字をはじき出している。その増益率見通しをもってしても、22倍に近い予想株価収益率(PER)は過去のレンジ上限に近く、実際の業績が予想に満たない場合のリスクが示唆される。

  高い利益目標の達成が、オミクロン株に妨害される可能性もある。リチャード・バーンスティン・アドバイザーズの副最高投資責任者(CIO)、ダン・スズキ氏によれば、オミクロン株の感染は先行変異株よりも軽症で済むことがデータで示されているが、各国が感染拡大の抑制に取り組む中、サプライチェーンの目詰まりを悪化させる可能性がある。

  「サプライチェーンにようやく改善の兆候が見えてきそうになったが、それでもかなりもろい状況だ。これが続くなら、インフレに上昇圧力が加わるのは間違いない」とスズキ氏。「米金融当局がインフレを真剣に懸念し始めたのはつい最近のことで、これで状況が変わっていくのは明白だ」と述べた。

  これらを総合すると、2021年最初の数カ月のような市場環境になる可能性が浮かび上がる。当時はインフレ期待の上昇に反応して、長期債利回りが急伸した。この環境では主要株価指数での比重が高く、割高感のある大型ハイテク株が圧迫されやすくなると、スズキ氏は指摘する。来年3回の利上げが予想されていることも、追い打ちをかける。

  何カ月にも及ぶインフレや実質賃金の目減りを、米国の消費者は耐え忍んできた。しかし需要動向の転換点は近づいていると、ミラー・タバクのチーフ市場ストラテジスト、マット・メイリー氏は指摘する。

  「インフレが力強さを維持するなら、消費者信頼感は崩れ始める」とメイリー氏。「遅かれ早かれ物価高は消費意欲を薄れさせ、その結果として米国の消費主導経済は利益が損なわれるだろう」と述べた。

原題:Big S&P 500 Bear Case Sees Inflation Finally Eating Everything(抜粋)

 

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