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JPモルガンもパリにトレード拠点、シティーの優位「風前の灯火」か

  • 投資銀パリとフランクフルト、ファンドはダブリンとルクセンブルク
  • 1平方マイル四方のユニークな「エコシステム」の必要性にも疑問

米銀JPモルガン・チェースは、フランス首都パリの拠点を105年前からバンドーム広場にある優美な18世紀の邸宅の中に構えてきた。英国の欧州連合(EU)離脱が欧州の金融業界の景色をいかに変貌させたか知りたければ、このパリ本店の裏に回ってみるべきだ。

  JPモルガンのパリ本店は、英EU離脱前は人員が250人前後でどちらかといえば傍流の拠点だった。しかし、EU関連の銀行業務がロンドンを離れるおかげで、パリの人員は来年末までに800人に増員される予定。現地の行員らによると、さらに注目すべき動きとして、トレーディングとセールスという新たなビジネスラインがフランス本店の業務に加えられたことが挙げられる。

  それら全てのトレーダーが働けるスペースを確保するため、JPモルガンは、マルシェ・サントノレ広場のテラスレストランに面する本店ビルの裏側にモダンな7階建てのエクステンションを取得した。表玄関ほど魅力的ではないが、投資銀行業務の遂行に真剣な証しとなる外観だ。

XXX CHECK HED XXX Bank Headquarters in Paris a Year After Brexit
JPモルガンが新たに取得したエクステンション
Photographer: Nathan Laine/Bloomberg

 

XXX CHECK HED XXX Bank Headquarters in Paris a Year After Brexit
パリのバンドーム広場にあるJPモルガンのパリ本店(右、12月20日)
Photographer: Nathan Laine/Bloomberg

  それはEUの金融トレーディング拠点としてナンバーワンの地位をパリが得た象徴とも言える。2016年の英国民投票でEU離脱が選択されて以降、ゴールドマン・サックス・グループは人員を3倍余りに増やし、バンク・オブ・アメリカ(BofA)も17年の83人から約500人に増員した。

  英EU離脱の移行期間終了から1年が経過しようとする現在、シティー(ロンドンの金融街)にとってさらに脅威になりかねない広範な流れが進行中だ。利益が比較的大きいトレーディング業務でパリが勝利しつつある一方、フランクフルトとダブリン、アムステルダムといった他の都市も、それぞれ異なる専門分野でEUの金融拠点として台頭してきた。

  オランダ・ロッテルダムのエラスムス大学のディルク・スフーンマーカー教授(銀行金融)は「英EU離脱後の混乱が沈静化し始めてみると、投資銀行は規制・監督当局に近いパリとフランクフルト、投資ファンドはダブリンとルクセンブルク、株式市場はアムステルダムに落ち着いた」と分析する。フランクフルトは多くの法律専門家も迎え入れている。

  ただ、これらはいずれも、約41万8000人の金融サービス関連職を擁するシティーの差し迫った危険の誇張を意図しようとするものではない。

  EY(アーンスト・アンド・ヤング)の最新の数字によれば、16年の国民投票以降、パリは約2800人、フランクフルトは約1800人、ダブリンも1200人近くの金融関係者が英国から異動したが、一部で予想された数万人規模には遠く及ばない。JPモルガンのパリ拠点も、ロンドン金融街カナリーワーフのオフィスと比較すると小さく見える。

 

JPMorgan Chase & Co.'s London Offices As Trader's Deals Spur Concern
ロンドン金融街カナリーワーフのJPモルガンのオフィス
Photographer: Simon Dawson/Bloomberg

  だが、ユーロネクストのステファン・ブジュナ最高経営責任者(CEO)は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の下で、重大な変化が起きたとの見方を示す。シティーはその優位の源泉として、1平方マイル四方というユニークな「エコシステム」 の中でトレーダーとクリアリング(清算・決済)業者、ディールメーカーが、ヘッジファンドや顧問弁護士、介在するあらゆる職種と緊密に関わる状況が挙げられてきた。

  ブジュナ氏は、金融関係者がいとも簡単にリモート勤務に移行する様子は、物理的に接近していることがそもそも必要かどうか疑念を生じさせたと指摘した。

 

原題:JPMorgan’s Paris Traders Are Only Part of the Threat to London (1)(抜粋)

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