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外国人の住民投票権で揺れる東京・武蔵野市、条例案を否決

  • 神奈川県逗子市、大阪府豊中市に続く全国3例目とならず
  • 「これはダメ」安全保障巡る懸念から与党内で批判相次ぐ

東京都武蔵野市議会は21日の本会議で、外国人と日本人を区別せず、同じ条件での住民投票権を認めるという条例案を否決した。

  条例案は市内に3カ月以上住む18歳以上の市民に住民投票権を認める内容で、武蔵野市の松下玲子市長が11月に議会へ提出した。松下市長は同条例案を巡り、TBSのインタビューで「多様性を力に変えて多文化共生社会を実現していく思い」と述べていた。

  日本国内では神奈川県逗子市と大阪府豊中市がすでに同様の条例を制定しており、今回成立すれば全国3例目だった。その他にも、約40の自治体が外国籍の住民に対し条件付きで投票権を認めている。

Japan's General Election As Ruling LDP Set To Win With A Reduced Majority
都内の投票風景
Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

  一方、同条例案には安全保障上の懸念などから反対の声も上がった。自民党の佐藤正久参議院議員は自身のツイッターで「これはダメ。中国からすれば格好の的」と述べ、外国人に「行政や議会も選挙で牛耳られる」恐れがあると指摘した。

  自民党議員約70人で構成する「日本の尊厳と国益を護る会」は声明で、武蔵野市の案件を「放置すれば全国の自治体に波及する恐れもある」と表明。「国会においては、こうした事態が再び起きないような法的な措置を検討する必要がある」と主張した。

  採決に先立ち今月13日に開催された総務委員会では、同条例を巡り意見が割れた。朝日新聞の報道によると、立憲民主党や共産党の市議らが「今や外国籍市民はコミュニティーの一員」と賛成の立場を取ったのに対し、自民党や公明党の会派は「市民の間で理解が進んでいない」として反対意見を示した。総務委員会の採決では賛成と反対が同数となり、委員長裁決で可決されていた。

  外国人にも投票権を付与する動きは、米国でも盛り上がりを見せている。ニューヨーク市議会では今月9日、一部の外国人に市長選などでの投票権を付与する法案が可決された。同市では約80万人の外国人が市長選などで一票を投じることができるようになる。

  成蹊大学法学部の武田真一郎教授は、日本の経済力が相対的に下がっていることが反対意見の背景にあるとみる。「外国人を受け入れている国々の方が安定し、経済的にも発展している」として、「日本の民主主義と経済発展のためにも、条例制定を実現させて欲しい」と述べた。

  松下市長は採決の結果を受け、「市議会では市民への周知が足りなかったとの意見があった」と述べたと産経新聞は報じた。市民の声をさらに聞き、改めて条例案を検討する意向を示したという。

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