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Photographer: Anthony Kwan/Bloomberg
Cojp

アジアIPO市場、来年は逆風に直面か-金利上昇観測と中国の規制で

  • 域内IPO、年初来で1900億ドルと過去最高-この数カ月は勢い鈍化
  • 中国企業の本国回帰続く可能性、米での上場廃止リスクに備える

アジア企業の新規株式公開(IPO)による資金調達額は今年、過去最高となる勢いだが、金利上昇の見通しと中国政府のハイテク大手に対する締め付けを考慮すれば、2022年もそうした成功を収めるのは難しいかもしれない。

  域内のIPO総額は年初来で1900億ドル(約21兆6000億円)と既に過去最高に達し、20年全体と比べ31%増えた。世界的な上場ブームを背景に上期(1-6月)の好調が目立ったが、ここ数カ月は勢いが著しく弱まっている。中国政府の民間企業への規制強化などで、来年に向けて不確実性が強まっているためだ。

  バンカーらは22年のアジアIPO市場について、熱狂が冷め、よりバランスの取れたものになると予想。インフレ率上昇でハイテク企業のバリュエーション(株価評価)が低下するほか、米国の金融引き締めで余剰資金の供給が減るとみている。上場企業の一段の多様化も見込まれ、国別では韓国とインド、業種別ではクリーンエネルギーや金融サービスなどが、かつて上場企業の大半を占めていた中国のハイテク企業に取って代わりそうだ。

Bumper Crop

Firms across Asia Pacific priced a record amount of initial public offerings

Source: Bloomberg

As of Dec. 16

  ゴールドマン・サックス・グループの日本を除くアジア担当株式資本市場共同責任者、ウィリアム・スマイリー氏は「22年の市場環境は一段と正常化するだろう。財政・金融刺激策からの脱却がインフレ率上昇の見通しと相まって、株式市場を含むリスク資産にとって厳しい状況をもたらす可能性がある」との見方を示した。

  中国企業が海外で上場するために長年使ってきた抜け穴や個人情報の安全性といった問題で、中国政府はハイテク企業に対する規制を強化。このセクターの資金調達ペース鈍化が続くことも予想される。

  セカンダリー(流通)市場のパフォーマンス低迷もあり、中国のハイテク企業の間で人気の上場先だった香港は世界の上場先ランキングトップ3から転落した。スナックメーカーの衛龍美味全球や米アップルのサプライヤー、伯恩光学など複数の中国企業が香港でのIPO計画を先送りし、今年10-12月(第4四半期)のアジアIPOは同四半期としては18年以降で最も低調となりそうだ。

  中国のハイテク企業が抜けた穴を埋めるのは、政府の締め付けが及んでいない企業か、国家の優先課題の恩恵を受ける新エネルギー供給業者や電気自動車(EV)メーカーなどかもしれない。

  中国勢の後退は、より地理的にバランスの取れた域内IPO市場にもつながりそうだ。韓国やインド、東南アジアの企業は活発な株式公開計画を維持している。

  一方、米市場に既に上場している中国企業で、香港や上海への二重上場を目指す企業の数は増える公算が大きい。

Homecoming Candidates

These are the 10 biggest Chinese companies only listed in the U.S.

Source: Bloomberg

Companies that don't trade in H.K. or mainland China. Value as of Dec. 16.

  この数年間に微博(ウェイボ)や百度(バイドゥ)、アリババグループなどの大手企業が香港市場に上場した。米当局によって中国企業が米市場で上場廃止に追い込まれるリスクが強まる中でそうしたトレンドは加速しそうだ。

  配車サービスの滴滴グローバルと動画配信サービスを手掛ける愛奇芸(iQiyi)も香港上場の準備を進めており、オンライン証券会社の富途控股テンセント・ミュージック・エンターテインメント・グループ (騰訊音楽娯楽集団)、拼多多(ピンドゥオドゥオ)もその可能性がある。

  ゴールドマンのスマイリー氏は、中国政府の規制を巡る状況が明確になれば同国企業の「株式発行動向は回復する」と予想。中国銘柄の「保有率は低く、ポジショニングは軽い」と説明した。

原題:IPOs in Asia Face Headwinds After Record Year of Fundraising(抜粋)

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