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さらば「一時的」市場の賭けが本格化へ-来年の利上げペース巡り

更新日時
  • 米連邦準備制度と英中銀はインフレ圧力の急上昇に直面し政策を転換
  • G3メッセージの共通項は政策協議でのインフレの重要性との見方

2021年も年末に入りインフレ急加速が一時的との考えが一掃され、来年の各国・地域中央銀行の金融政策引き締めペースを巡り市場が賭けを行う下地が整った。

  先週開かれた主要中銀の政策決定会合は、数カ月前には一時的だと軽視していた物価圧力の抑制を優先する一方、新型コロナウイルスのオミクロン変異株拡大に伴う経済リスクには政策担当者が目をつぶる様子をうかがわせた。トレーダーはその結果利上げをさらに織り込み、通貨と債券、株式市場に影響が波及した。

Inflation prices to peak in near-term but remain higher than norm
 
 

  投資家にとっては、来年起きる可能性のある状況に備えるプレーブック(戦略本)を提供するものだ。

  米連邦準備制度による22年の複数回の利上げ見通しがドル相場を押し上げ、イングランド銀行(英中央銀行)の予想外の利上げでポンド相場も回復した。ユーロ相場とユーロ建て債利回りの条件反射的な上昇は、インフレへの上向きリスクに対する欧州中央銀行(ECB)の認識をトレーダーが重視している表れといえる。

  デビア・グループのナイジェル・グリーン最高経営責任者(CEO)は「21年を通じて、インフレの急加速が一時的かどうかが議論されてきたが、この論争は今や終わった。米英や中国、欧州でインフレリスクは現実にあり、高まりつつある」と指摘した。

  「一時的」のレトリック崩壊は素早く起きた。英中銀・金融政策委員会(MPC)のキャサリン・マン委員は3週間前の段階で利上げについて、「タイミングの議論を行うことさえ時期尚早」と発言していたが、先週のMPCでは予想外の利上げに賛成した。

  15日の連邦公開市場委員会(FOMC)の声明でも、インフレが「一時的と見込まれる」諸要因を反映していると言及していた部分が削除された。これは今年の大部分を通じて堅持してきたスタンスだ。

  11月の消費者物価指数の前年同月比上昇率は、米国で6.8%と約39年ぶりの高水準、英国でも中銀目標(2%)を大きく上回る5.1%に達し、ユーロ圏では4.9%と統計開始後で最大の伸びとなった。インフレ過熱を示す統計を受け、米英欧の3中銀は行動せざるを得なくなった。

  INGグループの外国為替ストラテジスト、フランチェスコ・ペソレ氏は先週の段階で、「G3の中央銀行の今週のメッセージに共通項を見いだすとすれば、政策協議におけるインフレの重要性だ」との見解を示した。

Shock Boost

Money markets are betting on a faster, higher BOE tightening course after Thursday's surprise hike

Source: Bloomberg

  短期金融市場は英中銀のより積極的な連続利上げを今や織り込みつつあり、トレーダーは政策金利が来年8月までに1%に達すると予測する。

  ECBは16日の政策委で、新型コロナウイルス危機対応で導入した「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP、総額1兆8500億ユーロ=約236兆円)を来年3月末までに段階的に終了することを決定したが、来年以降の量的緩和(QE)適格資産への支援縮小がますます織り込まれつつある。

   バーナビー・マーティン氏率いるバンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストは17日の顧客向けリポートで、「クレジット買いはいつ終わってもおかしくない。来年下期が近づくにつれ、適格社債スプレッドのよりはっきりしたアンダーパフォーマンスが促されるだろう」と分析した。

No Longer Favored

ECB QE-eligible debt underperforms as the prospect of less support weighs

Source: ICE BofA indexes, Bloomberg

原題:Farewell, Transitory: Markets Heed Central Banks’ Inflation Call(抜粋)

(「一時的」のレトリック崩壊の経緯などを追加して更新します)
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