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パウエル議長、物価高が最大の敵-景気拡大と労働市場の活況回復で

  • バランスシートを縮小し流動性を引き揚げ始める可能性にも言及
  • 金融市場は冷静、投資家の間にはソフトランディングへの期待も

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米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は15日、連邦公開市場委員会(FOMC)会合後の記者会見で、同国景気の拡大基調を維持し、労働市場に新型コロナウイルス禍前のような活況を取り戻す上で、今やインフレ高進が最大の敵であるとの認識を示した。

  米金融当局者は今回、資産購入のテーパリング(段階的縮小)加速を決めるとともに、2022年の3回を皮切りに一連の利上げ見通しを示し、政策運営姿勢を急転換した。パウエル議長はまた、連邦準備制度の巨額のバランスシートを縮小し、そう遠くない将来に金融システムから流動性を引き揚げ始める可能性にも言及した。

  パウエル議長は「最大限の雇用への回帰に対する2つの大きな脅威の一つは実際のところ高インフレだ」とし、もう一つはパンデミック(世界的大流行)だと指摘。「われわれが必要としているのは過去40年間に目にしてきたような、長期の景気拡大を再び実現することだ」と語った。

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ライブ配信されたパウエルFRB議長記者会見の様子(12月15日)
Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

  米金融当局の姿勢変更を金融市場は冷静に受け止めた。投資家は当局が緩やかな利上げを通じて国内総生産(GDP)に大きなダメージを与えることなく急速な物価上昇に歯止めをかけ、経済の「ソフトランディング(軟着陸)」の離れ業を達成することができると予想。米株価はFOMCの政策決定の日としては20年以来の大幅上昇を記録した。

October price and costs reports altered views on pressures, Fed's Powell said
 
 

  レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャルのチーフエコノミスト、スコット・ブラウン氏は「金融当局にとって最初の一歩は口先でのオペだ。当局はインフレが広がりつつあるのを目の当たりにし、人々は夜のニュースで何度もインフレについて耳にしている。当局が懸念しているのはこうした点だ」と話した。

  物価高を心配しているのは金融当局だけではない。世論調査の支持率低下や有権者の間で広がるインフレ高進懸念を念頭に、バイデン大統領は最近、米経済の力強さを強調する一方で、物価高騰がもたらす打撃を認めた。

  エコノミストの一部からは、今年に入って持続的に高まってきたインフレの脅威に金融当局が重点を移すのが遅かったとして、当局が景気拡大を持続させることができるかどうか疑問の声が上がっている。

  ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、マーク・ビトナー氏は「インフレの脅威を封じ込めることに関し、金融当局の言動は後れを取っている。過去の例を踏まえると、経済が完全雇用の状態で、実質GDPが潜在成長率を上回る伸びとなっている場合、インフレを鈍化させるのは非常に困難なことが分かる。22年にわれわれが置かれる状況はそのようなものだろう」と警告した。

  パウエル議長は過去何カ月にもわたり、インフレ高進は一過性のもので、やがて解消が見込まれるサプライチェーンの制約が要因だと説明してきた。だが、15日の会合後に公表されたFOMC声明からは、これまで盛り込まれていた物価動向に関する一過性の文言が完全に削除された。

  議長はこのほか、賃金が急速に上昇し始めて物価高に拍車をかけることがないよう金融当局として注視する方針を表明。「労働市場のさらなる改善の可能性についての考えを排除したいとは全く考えていないが、現在のような高インフレ下ではリアルタイムで判断を下し政策を決定する必要がある」と強調した。

The Fed's New Dot Plot
 
 

原題:

Powell Declares Inflation Big Threat as Fed Signals Rate Hikes(抜粋)

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