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【コラム】FRBに不吉な前例、大インフレ前夜1965年-コチャラコタ

  • 来年上期にFOMC会合ごとの連続利上げを開始する用意が必要
  • FF金利は2.5%を優に超え現在の想定よりはるかに高くなる可能性

米連邦準備制度は14、15日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、予想よりはるかに強いと証明されつつあるインフレ圧力にどう対処すべきかという難題に直面する。私の想定よりずっと積極的な利上げの経路を公表しなければ、彼らの消極姿勢は1970年代のグレートインフレーション(大インフレ期)の再来を招く危険があるだろう。

  経済情勢は過去1年で劇的に変化した。2020年12月の段階では、それまでの10年の多くの期間と同様インフレ圧力は落ち着き、連邦準備制度が選好する個人消費支出(PCE)コア価格指数は前年同月比1.5%の上昇率にとどまっていた。しかし今年10月時点では4.1%と連邦準備制度の目標の2倍強、約30年ぶりの大幅な上昇ペースとなった。

  この種の急変には過去に不吉な前例がある。1965年の初めも米政府がベトナムへの軍事介入を大きく拡大するまでは、連邦準備制度がインフレを懸念する理由はほとんどなかった。その後特需がPCEコア価格指数を急激に押し上げた。追加支出の衝撃は一時的となるはずだったが、将来のインフレ期待から物価と賃金が上昇し始めるインフレ心理が醸成された。

  こうした自己増殖的な上昇スパイラルに対し、連邦準備制度が何年も十分積極的な対応を行わなかった結果、70年代末までにインフレ率は2桁に加速した。米経済が2桁の失業率を伴う厳しいリセッション(景気後退)を経験することでようやく、連邦準備制度は物価を再び抑制することができた。

  同種のインフレ心理のリスクが今も見て取れる。21年7-9月(第3四半期)の民間部門の給料・賃金は前年同期比4.6%増え、今世紀に入り最も大きな伸びとなった。変動しにくい価格を反映するアトランタ連銀の「粘着価格指数」も急上昇しており、長期の価格設定を行う売り手が高インフレが持続すると予想している様子がうかがえる。

  インフレ期待の高まりという脅威に対処するため、連邦準備制度は迅速かつ積極的に行動しなければならない。具体的に言えば、来年上期にFOMC会合ごとの連続利上げを開始し、インフレ率が2%近くに再び落ち着くまで続ける用意が必要だ。

  そのような急勾配の引き締め経路をたどれば、フェデラルファンド(FF)金利は金融政策担当者が「中立的」と考える2.5%を優に上回り、彼らの現時点の想定よりはるかに高い水準に達する可能性がある。これは市場にとってショックであり、直ちにある程度の経済的痛みを伴うだろうが、将来はるかに大きな痛みが生じるリスクを取り除くだろう。

(2009-15年に米ミネアポリス連銀総裁を務めたナラヤナ・コチャラコタ氏は、ブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:The Fed Faces a Troubling 1965 Parallel: Narayana Kocherlakota(抜粋)

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