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Photographer: Stefani Reynolds/Bloomberg
Cojp

米国債の実質投資リターン、今年はボルカー時代以降の最悪に

  • 米10年債の投資利回り、今後10年にわたりインフレ率を下回る見通し
  • マイナスの実質利回りは貯蓄や債券投資を犠牲に、政府にはプラス

インフレを加味した米国債投資の実質リターンは、約40年で最悪となりそうな様相だ。市場の見方通りであれば、債券が利益をもたらし始めるのは何年も先になる公算だ。

  米金融当局がコロナ禍で導入した資産購入のテーパリング(段階的縮小)に着手し、利上げに近づく中で、米国債価格は過去1年で約2%下落。これに加えて11月の米消費者物価指数(CPI)が前年比6.8%と大幅に上昇し、投資家をさらに追い込んだ。

  この2つの要因で米国債の実質リターンは、ボルカー元米連邦準備制度理事会(FRB)議長が賃金・物価スパイラルと格闘していた1980年代初め以降で最悪となりそうだ。さらにこの傾向は当面変わらない見通しだ。10年債の利回りは今後10年にわたりインフレ率を下回り続けると、市場は見込んでいる。つまり投資利益が出てもインフレがそれを打ち消し、実質リターンはマイナスになることを意味する。

 

Inflation-adjusted return of Treasuries falls to lowest since 1980s
 
出所:ブルームバーグ

  インフレ率が数十年ぶりの高水準にある中で長期債利回りが低いままの現状は、ウォール街では大きな謎だ。教科書通りであれば、インフレ率が高ければ投資家はそれに見合った高いリターンを要求するはずだ。11月と同じインフレ水準を最後に記録した1982年当時、10年債利回りは15%近くに達した。現在の10年債利回りは1.5%にも満たない。

  コロナ禍に伴う大規模な景気刺激と家計貯蓄の増加で、大量の資金が米国債市場に流入したためだとの指摘がある。一方では、経済への悲観が反映されており、高齢化が進む中で米国の潜在成長が低下を続けるとの投資家の見方が示唆されているとの分析もある。

  いずれにせよ約2年にわたる実質マイナスの利回りは、貯蓄や債券投資に痛みを与えると同時に、米政府の財政事情にはプラスになっている。

  

原題:

Bond Traders Stare at Worst Real Returns Since Volcker Era (1)(抜粋)

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