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EVを移動する蓄電池として活用、再エネ普及に-ノーベル賞の吉野氏

  • 車に蓄えたエネルギーを電力網に供給する技術で再エネコスト抑制に
  • 充放電の必要を車が判断して完全自動運転で移動、新たなビジネスも

リチウムイオン電池開発での功績で2019年にノーベル化学賞を受賞した旭化成名誉フェローの吉野彰氏は、脱炭素化に向けた再生可能エネルギーの普及のため電気自動車(EV)を移動する蓄電池として活用することが重要になるとの見通しを示した。

Asahi Kasei Honorary Fellow Akira Yoshino Interview
吉野氏(12月3日、都内の旭化成本社)
Photographer: Kentaro Takahashi/Bloomberg

  吉野氏は、ブルームバーグとのインタビューで「再生可能エネルギーの普及には蓄電システムが必須だが、新たに導入すればコストが上昇する」と述べ、EVを移動手段のみならず、車に蓄電されたエネルギーを電力網へ供給する技術(V2G)の開発を同時に進めることで、再エネの発電コストの上昇抑制につながると強調した。

  太陽光や風力などの再エネは天候により発電量が大きく左右されることから、蓄電設備を併せて整備する必要があるとされている。

  吉野氏は、人工知能(AI)やあらゆるものがネットにつながる「IoT」など新技術が自動車産業と融合し、2025年ごろから本格的な変革期を迎えると想定している。特にEVによる完全自動運転が始まれば、車が自ら放電や充電の必要性を判断して適切に移動できるようになり、車を使った新たなビジネスの創出にもつながるとみている。

  吉野氏は「電力が余っているという情報があればすぐに充電に回るし、電気が足らなくなってくれば放電に回る」と述べる一方、電力料金が安い時に電気を買い、高い時に売れば差額が出るため「当然ビジネスにもなる」と解説する。

  V2Gは英国などで導入に向けた取り組みが進められている。吉野氏は今後、国内で年間の自動車販売台数に匹敵する500万台程度の電気自動車が国内市場へ投入されれば「十分な蓄電容量になる」との試算を示した。 

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