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大企業製造業の景況感横ばい、非製造業2年ぶり高水準-日銀短観

更新日時
  • 非製造業は宿泊・飲食サービスや対個人サービスが大幅改善
  • オミクロン株の影響は十分に評価されていない可能性-日銀

日本銀行が四半期ごとに実施している企業短期経済観測調査(短観)の12月調査で、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス18と9月の前回調査から横ばいだった。緊急事態宣言の解除などを背景に非製造業は7ポイント上昇のプラス9と、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年12月以来の高水準となった。

  製造業では生産用機械や業務用機械、石油・石炭製品が改善した一方で、鉄鋼や非鉄金属、はん用機械は悪化した。非製造業は6期連続の改善で、新型コロナの影響が続いていた宿泊・飲食サービスや対個人サービスが大きく持ち直した。

  先行きは、製造業がプラス13、非製造業がプラス8と、いずれも悪化を見込んでいる。日銀は、オミクロン株の影響が十分に調査に評価されていない可能性を指摘している。

キーポイント
  • 景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いたDIは大企業・製造業がプラス18と前回調査から横ばい-ブルームバーグ調査の予想はプラス19
  • 非製造業はプラス9と7ポイント改善-予想はプラス5
  • 先行きは製造業がプラス13、非製造業はプラス8へ悪化を見込む
  • 大企業・全産業の設備投資は前年度比9.3%増-予想は9.8%増
  • 2021年度の為替想定は1ドル=109円09銭(前回107円64銭)、1ユーロ=127円71銭(同126円50銭)と円安方向に設定

 

大企業非製造業は6期連続改善
 
 

エコノミストの見方

伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミスト:

  • 回答期間を見ると、オミクロン株に関する懸念は部分的に反映されているはずだが、十分には反映されていないだろう
  • 全体的には足元では企業は景気回復に対して自信を示している
  • 大企業・製造業は特に高水準の業況判断を維持しており、特に設備投資に関しては全体的な改善、業務用機械や一般機械の改善が回復に対する期待を反映している
  • ただ今回はむしろ注目は非製造業で、特に対個人サービスなどは著しく改善している
  • 全体的に回復を示すが、今後の懸念材料はオミクロン株、米国を中心としたインフレと米連邦準備制度理事会(FRB)の動向、米中対立など

詳細(日銀の説明)

  • 回収基準日は11月29日、それまでに8割弱から回収。オミクロン株の影響は十分に評価されていない可能性
  • 大企業・製造業の業況判断不変、企業からは感染症の影響緩和の声と原材料コスト増などの声が拮抗(きっこう)
  • 大企業・製造業の業況判断、生産用機械・業務用機械・電気機械は好調なIT需要を背景に改善
  • 非製造業の業況判断、大企業と中小企業ともに感染症の影響緩和を主因に幅広い業種で改善
  • 先行きは製造業と非製造業ともに幅広い業種で原材料コスト高が懸念されている
  • 設備投資計画、全規模・全産業ベースでも過去平均を上回る伸び率
  • 資金繰り判断では「楽である」超幅が、金融機関の貸し出し態度判断では「緩い」超幅が、それぞれ高水準で推移している
  • 物価全般の見通しで1年後の前年比1.1%上昇は、15年9月調査の同1.2%以来の高水準

背景

  • 供給制約の緩和による自動車生産や緊急事態宣言など公衆衛生上の措置の解除に伴うサービス消費の回復などが、業況判断DIの改善要因
  • 半導体不足の改善は緩やかなのに加え、足元で新たな新型コロナウイルス変異株の感染が海外で拡大しており、先行きの企業心理は慎重化しやすい。ただ、調査にはオミクロン株の影響が十分織り込まれない可能性も
  • 原材料価格の高騰に伴う仕入れ価格と販売価格の判断や、円安の進行による想定為替レートの変化と収益の動向も注目
  • 日銀は来年3月末に期限を迎える新型コロナ対応の資金繰り支援策について、今週の金融政策決定会合で議論する可能性がある。短観における資金繰りなど企業金融の動向にも関心が集まる
  • 雨宮正佳日銀副総裁は8日の講演で、オミクロン株の発生もあり、先行き不確実性は高い状況としながらも、日本経済の回復傾向は次第に明確になっていくというのが中心的な見通しだと語った
(エコノミストの見方と日銀の説明などを追加して更新しました)
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