コンテンツにスキップする

オフィスビルのグリーン化が進展、不動産大手が再エネ電力導入に意欲

  • 再エネ電力導入は株価の下振れリスク減らす意味合い強い
  • 金融やコンサル企業の需要が顕著、「Z世代」の取り込みも

大手不動産デベロッパー各社が、自社保有のオフィスビル向けに再生可能エネルギー由来の電力を導入する「グリーン化」を加速させている。2050年までの温室効果ガス排出の実質ゼロ実現に向け、不動産各社だけでなく入居する企業の間にも排出削減のニーズが高まっていることが背景にある。

  三菱地所は2021年度から丸の内エリアを中心に19棟のビルで使用される電力を、全て再エネ由来のものに切り替えた。22年度には同社が丸の内エリアで保有・運営する全ての物件に再エネ電力を導入する。

  同社は50年までに事業で使用する電力の100%再エネ化を目指しており、中間目標として30年までに25%にすることを掲げている。同社の広報担当によると足元の比率はすでに30%を超えており、現在計画の見直しを検討しているという。

Tokyo Office Properties Ahead of Monthly Vacancy Rate Announcement
丸の内エリアのビル
Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

  三井不動産住友不動産も同様に再エネ電力の導入を進めている。

  三井不は、30年度までに国内で所有する全てのオフィスビルや商業施設で使用する電力のグリーン化を目指す。さらに、自社の太陽光発電所の規模を30年度までに約5倍に拡大し、首都圏で保有する全施設の共用部で使用する量に相当する発電量を確保する。

  住友不は、東京電力ホールディングス傘下の東京電力エナジーパートナーが新設する再エネの発電所からの調達など複数のプランを準備し、テナント企業の要望に応える。

  グリーン電力の供給方法は各社ごとで異なる。三菱地所は、エレベーターやロビー、廊下などの共用部からテナントが入居する専有部までを含めビル全体に再エネ電力を供給する。三井不や住友不は共用部向けに再エネ電力を供給するものの、テナント企業自身が太陽光発電事業に取り組んでいるケースなども想定し、専有部については各社の方針に委ねる。

  テナント企業の間でグリーン電力への関心は非常に高く、特に金融やコンサルティングなどの大手日系企業や外資系企業からの需要が顕著だという。事業運営を100%再エネで賄うことを目指す「RE100」や、科学的根拠に基づいた排出削減目標の設定を企業に求める「SBTイニシアチブ 」などの国際的な取り組みも需要を後押ししている。

Z世代に環境意識

  不動産サービスのクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドで日本の不動産市場を調査しているシニア・リサーチ・ディレクターの鈴木英晃氏は、1990年代後半から2000年代に生まれた「Z世代」の環境意識が高いことも企業の再エネ導入への取り組みを後押ししていると指摘する。

  環境について早い段階から学んできた世代であるとし、環境への配慮など「真剣に取り組まないとそもそも選ばれないというのが、企業としては人材確保の面でかなり浮き彫りになってきた」と語る。

  三菱地所の片山浩執行役専務は11月の決算会見で、将来的には「環境性能に優れたオフィスビルのスペックなり、あるいは再エネ電力を供給するビルには高い賃料を払っても差し支えないというのが、やがては社会の動きになるとは思う」と述べた。一方で、環境性能の高いビルへの需要はあるものの、賃料の上昇にはまだつながっていないという。

  クッシュマンの鈴木氏は、再エネ電力の導入は株価の下振れリスクを減らす意味合いが強く、賃料の上昇に結び付けるのは難しいと指摘する。短期的には賃料が上昇する可能性はあるものの、「長期的に多くのビルが再エネ対応していくことを考えると、賃料に反映されるとは考えづらい」と話す。再エネ対応ビルが標準化する将来を見据えて、「今のうちに囲い込みをする」狙いがあると述べた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE