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米国債市場の流動性、「蜃気楼」となる危険-テーパリング加速で

更新日時
  • 連邦準備制度のテーパリングに財務省の国債発行規模縮小が重なる
  • 流動性の高い国債発行が減り、流動性の低い国債の買い入れが終了へ

2020年3月に新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が市場を動揺させて以降、市場を大きく動かさずに米国債を大量に売買することが今ほど難しい時期はほぼなかった。

  ボラティリティーが急上昇し、トレードの失敗が増加しており、連邦準備制度による債券購入のテーパリング(段階的縮小)が状況をさらに悪化させるだろうとウォール街のアナリストは警告する。

  昨年のパンデミック初期段階で市場が動きを止め、大部分の米国債の流動性が消滅する中で、本格的なメルトダウン回避のため、連邦準備制度は大規模資産購入による量的緩和(QE)再開など対応を迫られた。だが、米国債の中で流動性の低い部分を買い入れてきた連邦準備制度は今やテーパリングを開始し、そのペースを加速させる構えだ。

  米財務省が国債発行規模を縮小することを考え合わせると、混乱にさらに火が付くきっかけになりかねない。

  ナットウエスト・マーケッツの戦略グローバル責任者ジョン・ブリッグス氏は「米財務省は最も流動性の高い国債の発行を減らし、連邦準備制度は最も流動性の低い国債の買い入れをやめようとしている。国債市場でわれわれが全般に目にしてきたのは、どちらかといえば蜃気楼(しんきろう)のような流動性の状況だ」と分析した。

Bloomberg gauge of Treasuries liquidity is deteriorating
 
 

  連邦準備制度は、22兆ドル(約2500兆円)規模の市場の95%を占めるが、売買の頻度が低い「オフザラン銘柄」を主に買い入れている。これに対し、財務省の国債入札での発行額減少は、直近に発行され、グローバル債券市場の指標銘柄として用いられる「カレント銘柄」のプールが縮小することを意味している。

  ゴールドマン・サックス・グループのチーフ金利ストラテジスト、プラビーン・コラパティ氏は、その組み合わせこそが一連の非流動性とボラティリティーが高まるメカニズムとの見方を示し、「連邦準備制度がそこにいなければ、他の市場参加者はオフザラン銘柄に進んで流動性を提供しようしなくなる。しかも同時に財務省が『オンザラン銘柄』(カレント銘柄)の発行を減らしている」と指摘した。

 

Normal yield spread between old and new Treasuries was restored after March 2020
 
 

原題:Cracks Emerge in Treasury Bond Market as Fed Starts to Back Away(抜粋)

(オフザラン銘柄について追加して更新します)
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