コンテンツにスキップする

ゴールドマンも報酬果実渇望、もはや頂点でない-異次元化の富創造

更新日時
  • SPACが生む潤沢な利益の分け前にあずかることもアイデアの一つ
  • 大幅昇給実現する下準備としてインセンティブ報酬パッケージも要求

1日を始める前に押さえておきたい世界のニュースを毎朝お届け。ブルームバーグのニュースレターへの登録はこちら

米投資銀行ゴールドマン・サックス・グループのトップは、何十年にもわたり金と力の頂点と考えられてきた。しかし異次元規模の富の創造が行われる時代が到来し、同行の最高幹部らは、自分たちが報酬を十分得ていないと考えるようになった。

  デービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)と上級幹部らは、トレーニーに報いるよう求める圧力の高まりに今年向き合う一方、8桁の報酬パッケージの果実を自ら絞り取る方法を探ってきた。

  ウォール街で大流行の特別買収目的会社(SPAC)関連で、ゴールドマンのSPACが生む最も潤沢な利益の分け前にあずかることもアイデアの一つだ。 2022年に向け大幅昇給を実現する下準備として、インセンティブ報酬パッケージも要求し、一定の成果が得られた。

 

Key Speakers At The Bloomberg Global Business Forum
ゴールドマンのデービッド・ソロモンCEO
 

  年間2000万ドル(約22億6000万円)余りを得ているトップバンカーの報酬が十分でないという考えも、富が加速度的に増殖する今の時代のさらに驚嘆すべきポイントだ。

  米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の資産が3000億ドル規模に達し、テクノロジーや暗号資産(仮想通貨)、プライベートエクイティー(PE、未公開株)分野で新たな富の創造が連日のように伝えられる中で、古い成功の基準は捨て去られつつある。

  08年の世界的な金融危機以降、投資銀行の取締役会メンバーは、上級幹部の報酬を抑制する圧力にさらされてきた。執行役員報酬の開示対象者(NEO)は特に定期的な情報公開が義務付けられ、厳重に監視される。

  ウォール街の金融機関が過去最高の収益を更新する状況で、ジュニアバンカーも今や年間報酬が10万ドルを優に上回る昇給をうまく勝ち取り 、ベテランのディールメーカーやトレーダーは、より良い報酬と職を求めて金融機関を渡り歩いている

  その一方で、トップクラスの経営幹部の一部は手取りの報酬に限界を感じ、別の場所で稼ぎ出せる利益について思案し始めた。

  ソロモンCEOが保有するゴールドマン株式の評価額は、制限付きを含めて総額1億8000万ドル余りに上る。18年12月にCEOに就任したソロモン氏に対し、取締役会は19年に2750万ドル、20年も同額(不祥事の処分で後に1750万ドルに減額)の報酬パッケージを付与した。

  今年10月には一定の業績目標を達成した場合、同氏とジョン・ウォルドロン社長兼最高執行責任者(COO)が、合計5000万ドル相当の特別ボーナスを受け取る資格を得たことが、届け出資料で明らかになった。

ゴールドマン、CEOに特別ボーナスか-報酬減額処分から1年足らず

Key Speakers At The Singapore Summit
ウォルドロン社長兼COO
 

  内部の報酬検討プロセスに詳しい関係者9人が匿名を条件に語ったところでは、ゴールドマンの経営陣はより野心的な報酬を前もって求めており、今回のボーナスでさえスケールダウンされた結果だという。

  ゴールドマンの広報担当パット・スカンラン氏は「投資家と利益を一致させる共同投資の機会をわれわれは上級幹部らに提供した。取締役会が追加の機会を探るとしても驚くには当たらない」と説明した。

  ゴールドマンを最近退職した元行員の一部は、過去1年で割のいい仕事を見つけた。投資銀行の元責任者グレッグ・レムカウ氏はデルの創業者、マイケル・デル氏の投資会社MSDパートナーズのCEOを務め、トレーディング責任者だったパブロ・サラーメ氏は、ケネス・グリフィン氏率いるヘッジファンド運営会社シタデルの共同最高投資責任者(CIO)に昇格する予定だ。

  ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、シタデル創業者のグリフィン氏やタイガー・グローバル創業者チェース・コールマン氏の純資産は毎年決まったように数十億ドル単位で増え、彼らの会社が他の経営トップの富を生むよりどころでもある。

  ソロモンCEOの報酬を増やすため、ゴールドマンが利用できそうな鉱脈の一つが、SPACビジネスだ。SPACの組成者は通常、一般投資家よりかなり低い価格で「プロモート」と呼ばれる株式の20%程度を取得できる。数千ドル単位で購入した株式の価値が数百万ドルに跳ね上がることも期待される。

  事情に詳しい複数の関係者によれば、SPACビジネスを自前で行うゴールドマンでは、プロモートの多くの部分が同行の利益になる見通しだが、SPACに直接関与した経営幹部の分け前が確保されている。

  上級幹部の少数グループへのプロモートの配分拡大をソロモン氏が強く求めたことに対し、SPACチームが反発し、利益分配についてCEOと対立したという。

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載) 

原題:Goldman’s Top Bosses Push for New Ways to Juice Their Own Pay(抜粋)

(SPACビジネス関連の情報を追加して更新します)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE