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【ESG】グリーン国債発行、拙速対応避け慎重に検討-神田財務官

  • 償還財源の確保や流動性リスクプレミアムなどが課題と財務官
  • グリーン国債はG7の4カ国が発行済み、日本の動向に注目集まる

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財務省の神田真人財務官は、政府としてグリーンボンド(環境債)を発行する可能性について、実際の発行には課題があるとして「拙速な対応に陥らないような慎重な検討が必要」との認識を示した。

Japan FSA Masato Kanda
神田真人財務官
Photographer: Takashi Umekawa/Bloomberg

  神田財務官は1日、ブルームバーグとのインタビューで、「グリーンボンド市場を含むESG(環境、社会、企業統治)債市場が活性化していくこと自体は望ましいと考えている」と述べた。メディアのインタビュー取材に応じるのは、7月の就任以降初めて。

  一方で、発行に絡む課題も指摘。確実な償還財源がなければ将来世代への借金につながることや、どの事業をESG関連予算とするのかの線引きを巡って、欧州などの外部評価機関からの干渉を受ける可能性があることを挙げた。

  また、他の国債と別に発行すれば、流動性の低下に伴って調達コストが増加し、かえって資金調達が非効率になりかねないことも留意すべき点だとした。

  政府系機関が発行する財投機関債としてのグリーンボンドはすでに存在しており、「こうした発行が行われていくことは、民間のESG投資を引き出す観点からも重要だ」とも話した。

  政府が発行するグリーンボンドは、2016年にポーランドが起債したのを皮切りに世界的に広がり、主要7カ国(G7)では、フランス、英国、ドイツ、イタリアの4カ国がすでに発行済みで、カナダも4月に発行計画を公表。日本の動向に対する投資家の関心も高い。

外貨準備運用にESGの視点

  ESG投資の機運が世界的に高まる中、財務省は10月、為替介入の資金などに使われる外貨準備の運用でESGの観点を取り入れる方針を公表した

  10月末時点の外貨準備高は1兆4045億ドル(約158兆円)で、大半は証券投資で運用し、一部は海外中央銀行への預金などで保有している。市場への影響を避けるため、投資行動や運用先の詳細は非開示だ。

  神田財務官は、外貨準備の運用でESGを考慮することついて、昨年夏から本格的な検討に着手したと説明。国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の開催もあり、「気候変動対応のモメンタムの一助になればと考えて今回の発表に至った」と背景を語った。COP26は今年10月末から11月にかけて英グラスゴーで開かれた。

外国為替市場

  神田財務官は、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の再任や、新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染拡大を警戒する動きなどを受けた値動きの荒い外国為替市場について、「市場に不測の影響を与える恐れがあるので、コメントは差し控えたい」と述べた。

  その上で、G7や20カ国・地域(G20)で合意されている通り、「経済のファンダメンタルズを反映して市場で決まるのが重要であるとともに、過度の変動や無秩序な動きは、経済や金融の安定に悪影響を与え得ると認識している」と話した。

  神田財務官は1987年に東京大学法学部を卒業し、旧大蔵省に入省。総括審議官や国際局長を経て、2021年7月から現職。

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