製薬会社の見解分かれ懸念再燃-新変異株への既存ワクチン効果巡り
Robert Langreth-
免疫をすり抜けることを示す証拠はほとんどないという見解が多い
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モデルナCEOの発言が世界の株式市場を揺るがせた
既存の新型コロナウイルスワクチンが新たな変異株「オミクロン株」にどの程度有効かについて医薬品メーカーの見解が分かれたことが響き、11月30日の世界市場は動揺した。同変異株に関する情報が不足していることで再燃したパンデミック(世界的大流行)への懸念が反映されている。
専門家や製薬会社の経営幹部の多くの見解はこれまでのところ、オミクロン株がワクチン接種で得られた免疫をすり抜けることを示す証拠はほとんどないというものだ。
英アストラゼネカと共同でワクチンを開発した英オックスフォード大学は、既存のワクチンがオミクロン株に対する一定の防御にならないことを示す証拠はないと表明。独ビオンテックのウグル・サヒン最高経営責任者(CEO)はオミクロン変異株について、既存ワクチンでも重症化を防ぐ効果は恐らくあると述べた。
しかしこれに先立ち、米モデルナのステファン・バンセルCEOは、感染に関わるスパイクたんぱく質の変異がオミクロン株に極めて多いことから、感染を予防するには新たなワクチンが必要になるだろうと発言。オミクロン株の特定を受けた先週の世界株安の後、週明けに回復していた株式市場に不意打ちを食らわせた。
30日の米株式市場は大幅反落、S&P500種は前日比1.9%安で終了した。終値はモデルナが4.4%安、ファイザーが2.5%高、ビオンテックの米国預託証券(ADR)は3.0%安。英市場でアストラゼネカは1.1%安。
製薬会社はオミクロン株の広がりや既存ワクチンの有効性を見極めつつ、オミクロン株に対応するワクチン開発プロセスを推し進めている。ファイザーとモデルナは既に着手しており、3カ月程度でワクチン認可申請の準備が整う可能性があるとしている。
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・「オミクロン」にワクチンが効かない証拠はない-オックスフォード大 |
原題:
Vaccine Debate Clouds Threat Posed by Omicron Covid Variant(抜粋)