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バイデン米大統領が下した決断、パウエルFRB議長再任で安定性優先

  • ブレイナード理事は面談で大統領に強い印象与える-関係者明かす
  • ホワイトハウスの側近の多くは議長交代にほとんど利点ないと認識

バイデン米大統領が次期連邦準備制度理事会(FRB)議長人事の選考を進める過程で、ウォール街やワシントンでは来年2月に任期満了を迎えるパウエル議長の続投が本命視されてきた。

  しかし、今月早い時期にホワイトハウスでバイデン大統領と面談したブレイナードFRB理事は大統領に強い印象を与えた。事情に詳しい複数の関係者によれば、面談時間は事前予定を上回り、内容は米経済の脆弱(ぜいじゃく)な状態やインフレ、中国、気候変動など多岐にわたった。

President Biden Announces Board Of Governors Of Federal Reserve Nominees
バイデン大統領とパウエル、ブレイナード両氏(11月22日)
 

  

  バイデン大統領はブレイナード氏を高く評価し、面談ではFRB議長職について話し合われた。民主党進歩派の一部からもブレイナード氏を推す動きがあった。だが、米国民の間で経済状況への懸念が深まる中にあって、大統領が最終的に下した結論はパウエル氏再任だった。

  ブレイナード氏と同じ日に大統領と個別に面談したパウエル氏は、金融規制や気候リスクに関する詳細な質問にもしっかりと答え、再指名されるチャンスが高まった。住宅価格や食料品、エネルギー、自動車などの価格上昇で野党から批判を浴び、世論調査の支持率低下をなかなか反転させることができずにいるバイデン大統領は政治的に安全な選択肢を選んだ。大統領がブレイナード氏とどんなに気が合っても、安定と連邦準備制度の政治的独立性が優先した。

バイデン大統領はパウエルFRB議長続投を発表
Source: Bloomberg

  大統領の決定を巡るこの記事は、人選プロセスに詳しい6人余りの関係者とのインタビューに基づいており、そのプロセスは昨年11月の大統領選でのバイデン氏勝利よりも前の時点で本質的に始まっていた。事情に詳しい政権高官の1人の話では、同氏は自身が当選した場合、FRB議長が最も重要な人事の1つになると認識していた。

  ただし、バイデン大統領の検討に時間がかかった上に、大統領の経済的優先課題に関する議会の交渉長期化もあって、決定はずれ込んだ。複数の関係者は大統領の非公開の検討過程について、匿名を条件に明らかにした。

  米金融当局が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に非常に迅速かつ積極的に対応したことで、ホワイトハウスの大統領側近の多くはFRB議長を交代させることにほとんど利点はないとみていた。

  バイデン大統領は22日の発表に当たり、決定から「苦々しい党派性」を排したかったと述べた。なおパウエル氏には上院共和党議員の広範な支持があるため、民主党リベラル派議員の一部の造反があっても、同氏の指名承認に支障はないという事情もある。

  大統領が決定に至るまで、FRB首脳人事の議論はクレイン大統領首席補佐官とイエレン財務長官、ディース国家経済会議(NEC)委員長、リケッティ大統領顧問らの最側近グループに限定された。大統領とパウエル、ブレイナード両氏との面談に同席したのはディース氏だけだった。 

  バイデン大統領と政権の経済チームはFRB議長候補についての議論に何時間も費やした。大統領執務室を離れた所では、NECや大統領経済諮問委員会(CEA)、財務省の当局者の間で広範な話し合いが行われ、その多くはパウエル、ブレイナード両氏の組み合わせで連邦準備制度を率いることを支持した。

  イエレン長官は夏の時点でホワイトハウスの大統領側近に対し、パウエル氏再任を支持する考えを伝えていた。

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  バイデン大統領は19日、感謝祭を前に行った七面鳥の「恩赦式」に臨んだ後、パウエル氏とブレイナード氏に電話し、それぞれ議長続投と副議長指名の決定を通知した。ブレイナード氏は、来年1月が任期満了のクラリダ副議長の後任となる。 

  パウエル氏再任は上院で円滑に指名承認される公算が大きい。民主党進歩派議員の数人は同氏続投に反対を表明している。このうちウォーレン上院議員は9月の公聴会の際、パウエル氏に面と向かって「危険な人物」であると強く非難したことを明らかにしている。

  大統領は人事決定の直前にホワイトハウスでウォーレン議員と内々に会談し、同議員に自身の考えを表明する最後の機会を与えたと、事情に詳しい関係者1人が話した。

  ウォーレン議員は22日の大統領の発表後、パウエル氏再任の指名承認に反対票を投じると語ったが、共和党議員の多くは賛成に回る見通しだ。

  政権高官の1人は大統領の決定について、米経済を完全雇用状態に戻すとともに、ホワイトハウスの多くの人々が予想していたよりも一段と持続的かつ急ピッチで上昇するインフレを抑制する上で、金融政策のかじ取り役に誰が最適であるかの検討に帰着したと説明した。

原題:

Biden’s Long March to Fed Pick: Stability Won Over ‘Fresh Blood’(抜粋)

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