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続投のパウエルFRB議長、多くの政治的難題含みの経済問題に直面へ

  • 「その歴史において最も難しい時期にある」-元当局者のサーム氏
  • 連邦準備制度ももはや政治を超越した存在とは見なされない状況に
US President Joe Biden (C) announces Jerome Powell (L) as his nominee for Chair and Lael Brainard (R) as Vice Chair of the Board of Governors of the Federal Reserve System.

US President Joe Biden (C) announces Jerome Powell (L) as his nominee for Chair and Lael Brainard (R) as Vice Chair of the Board of Governors of the Federal Reserve System.

Photographer: JIM WATSON/AFP

バイデン米大統領が再指名を決めたパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は、連邦準備制度の107年の歴史でもほとんど前例のない非常に多くの政治的難題含みの経済問題に直面している。

  パウエル議長が対処しなければならない厄介な課題は、1世紀に一度といえる新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の打撃を受けた経済の運営や、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を創設するかどうかの判断など多岐にわたる。幾つもの問題のどれか1つでも対応を誤れば経済の拡大を損ね、リセッション(景気後退)を引き起こしかねない重大な局面にある。

President Biden Announces Board Of Governors Of Federal Reserve Nominees
パウエルFRB議長(11月22日)
Photographer: Samuel Corum/Bloomberg

  元FRB当局者で、現在はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストを務めるクラウディア・サーム氏は連邦準備制度について、故ポール・ボルカー氏がFRB議長だった当時以来、「その歴史において最も難しい時期にある」と指摘した。

  問題を一層困難にしている点としては、政治的な二極化が先鋭となり、連邦準備制度ももはやそれを超越した存在とは見なされないようになっていることや、一部当局者が関与したトレーディングを巡るスキャンダルでその名声が汚されたことなどが挙げられる。

  主な課題の幾つかは次の通り。

バイデン大統領はパウエルFRB議長の再指名とブレイナード理事の副議長起用を決めた
Source: Bloomberg

米経済の監督 

  米経済のかじ取りは常にFRB議長の最優先課題だ。しかし、現状がいつもと異なるのは過去数十年間直面したことがなかった難題に金融当局として直面している点だ。

  インフレ率は当局目標の2%を大きく上回る一方、最大限の雇用の実現という目標達成には至っていない。連邦準備制度は昨年、物価目標を何年も下回って推移してきたインフレ率の押し上げを目指し、新たな金融政策枠組みを採用したが、現行のインフレ動向と雇用情勢の組み合わせは、当時想定していなかった。 

Price Pressures Run Hot

U.S. October headline inflation increased by the most since 1990 on annual basis

Source: Bureau of Labor Statistics, Bloomberg survey

  インフレ高進を背景に、金融当局は債券購入プログラムのテーパリング(段階的縮小)について、ペース加速を検討する方向にあると見受けられる。当局は今月2、3両日の連邦公開市場委員会(FOMC)終了後、順序だった方法でテーパリングを進める計画を発表したばかりだった。

  FRBのクラリダ副議長とウォラー理事、セントルイス連銀のブラード総裁の3氏は先週、12月14、15両日の次回FOMC会合でテーパリングのペース加速が議題となる可能性があるとの考えを示唆した。

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  いわゆる量的緩和(QE)プログラムの縮小ペースを速めることになれば、景気過熱を防ぐのに必要と金融当局が判断した場合、政策金利をゼロ近辺から引き上げる時期を前倒しすることも可能になる。

金融の安定性確保

  連邦準備制度の超緩和的な金融政策は投資家のさらなるリスクテークを促し、株価や住宅価格など資産価格を非常に高い水準に押し上げることにつながった。FRBのスタッフはこうした結果によって、金融システムが破綻に見舞われやすい「顕著な」脆弱(ぜいじゃく)性が生じたとしている。

U.S. stock prices climb to record levels
 
 

  暗号資産(仮想通貨)や関連資産の爆発的な成長も、金融システムに潜在的リスクを突き付けており、特にドルに代替する支払い手段としてステーブルコインの台頭が挙げられる。

CBDCを創設するかどうか

  ステーブルコインの台頭によって、連邦準備制度にも開発で先行する中国の例に倣ってデジタル通貨を発行するよう圧力がかかっている。

  その提唱者は、CBDCを創設すれば銀行口座を持たない多数の米国人に対し、金融システムへのアクセスを拡大するとともに、取引の迅速化とコスト低減につながると主張。これに反対する意見として、金融機関から通貨が引き揚げられて連邦準備制度にデジタル・ドルとして貯蔵され、銀行システムの空洞化を招くリスクがあると警告する声が上がっている。

原題:

Powell’s Fed Era 2.0 Tees Up Tough Choices, Unforgiving Politics(抜粋)

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