コンテンツにスキップする

新興国通貨、米利上げに備え慎重な選択が必要-来年は差別化進行も

  • ブラジルやハンガリーの通貨に好機があるとみる向きも
  • 人民元やルーブルは踏みとどまっている数少ない新興市場通貨

ほぼ全ての新興国・地域の資産が、極めて強いドルと米国債利回り上昇に今年は圧倒された。新興国通貨のトレーダーは来年に向け慎重に対応する必要があるだろう。

  米連邦準備制度など先進国の中央銀行による引き締め見通しが強まっており、ブラジル・レアルやハンガリー・フォリントは、自国の中銀による利上げにもかかわらず、インフレと政治的懸念に圧迫されている。中国人民元と台湾ドル、ロシア・ルーブルは踏みとどまっている数少ない新興市場通貨だ。

  ただ下げ過ぎの通貨もあるようだ。新興国市場の見通し全般が不確かなままであっても、グローバルなダイナミクス変化の可能性が、投資家に再び慎重に足を踏み入れるよう促すこともあり得るだろう。

  バークレイズはブラジルとロシア、メキシコ、韓国の通貨を選好するよう顧客に助言。運用資産額(24億ドル=2740億円)のヘッジファンド運営会社ディスカバリー・キャピタル・マネジメントは、フォリントのような東欧での機会により重点を置いている。

  バークレイズのクリスチャン・ケラー氏らアナリストは先週の顧客向けリポートで、「景気拡大が十分に進行し、中国が減速し、緊急対応の刺激策が縮小するにつれて、新興国資産の差別化が進む」と予測。「新興国の大半の中銀が正常化サイクルで先進国をリードしており、新興国のリスクプレミアムの厚さが一定の資金フローを引き付けるはずだ。だが、特定の商品へのエクスポージャーといった構造要因も資産選択の指針になるはずだ」と分析した。

Most developing markets have fallen against the dollar in 2021
 
 

  TDセキュリティーズは先渡し市場についてブラジル・レアルやインドネシア・ルピア、南アフリカ・ランドなど幾つか通貨の弱さを過度に織り込んでいると考えており、これらの通貨を含むバスケット取引を勧める。

  TDのサチャ・ティハニ氏らストラテジストは先週のリポートで、「利回りが高めに調整され、現地通貨が軟調なため、新興国市場はいずれ迎える米利上げに備えてより良い位置にいる可能性がある。ただ、2022年のさらなる潜在的圧力との関連で考えるには、各国・地域経済の脆弱(ぜいじゃく)性が重要になる」との見方を示した。

  TDによれば、ファイナンスの観点からすれば、中南米が最もリスクの高い地域に見え、アジアの見通しは強めだ。とはいえ、ストラテジストらは、来年の選挙に先立つ政治不安で今は圧迫されているブラジル・レアルに潜在的好機があると期待する。リスクと潜在的ボラティリティーは高いが、レアルは今の1ドル=約5.57レアルから5レアル水準に再び上昇すると考えられるという。 

  ただ、ディスカバリー・キャピタルの創業者ロブ・シトロン氏は、ブラジルとロシアの見通しにより慎重だ。ブラジルの選挙キャンペーンを巡るノイズが解消されれば、レアルは最終的に上昇する可能性があるとみるが、それでも弱めで、市場は選挙を控え神経質な展開が続くと予想する。

  ロシア・ルーブルはエネルギー高と利上げに支えられてきたが、割安と引き続きみる向きがある一方、シトロン氏は地政学的リスクと不確実性に見合わないと考えている。

  同氏はハンガリーとチェコ、ポーランド通貨が対ユーロで上昇する方向への賭けが最良のリスクリワードを提供すると主張する。これら3カ国の中銀が既に利上げし、「インフレ高進を背景に恐らく追加利上げが考えられる」状況に言及し、「利上げにもかかわらずこれら諸国の成長見通しはずっと高いままだ。3通貨は非常に競争力があると思う」とインタビューで語った。

原題:FX Traders Seek Emerging-Market Gems Amid the Wreckage of 2021(抜粋)

 

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE