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Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg
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日本企業のガバナンス格差拡大に好機、ロングショート戦略のカーン氏

  • 1億ドル規模「Uアクセス」ファンド、投入以来のリターン年率11%
  • 現政権下でガバナンス向上の取り組み強化見込んでいないとカーン氏

日本のコーポレートガバナンス(企業統治)向上に向けた数年にわたる取り組みで、ガバナンスが良好な企業とそうでない企業の格差が広がっている。

  スイスのプライベートバンク、ユニオン・バンケール・プリヴェ(UBP)で2020年7月、ロングショート戦略のファンドを始めたズヘール・カーン氏はこう分析する。同氏によれば、こうした格差に着目した1億ドル(約114億円)規模の「Uアクセス・ロング・ショート・ジャパン・コーポレート・ガバナンス」ファンドは投入以来、年率11%のプラスリターンを上げているという。

  安倍晋三首相(当時)が15年に導入した上場企業の行動基準に関する「コーポレートガバナンス・コード」は「コンプライ・オア・エクスプレイン(順守せよ、さもなくば説明を)」とうたっているが、カーン氏はこれについて順守義務はなく、順守しなくても罰則はないという意味だとみている。アクティビスト(物言う株主)などからの圧力もあり、ガバナンスを大きく向上させた企業もあるものの、なお道のりは遠いと語った。

日本企業の企業統治に注目、元ジェフリーズのカーン氏がファンド設立

  カーン氏は東京からのビデオインタビューで、「ガバナンスが良好な企業は実際、かなり速いペースでますます良くなっている」が、そうでない企業は「より表面的な改善にとどまり、実質的には変わっていない」と述べた。

  業績が劇的に好転したソニーグループなど、ここ数年でコーポレートガバナンス関連のサクセスストーリーが幾つか生まれている。最近の東芝の取締役会刷新に関与するなど、アクティビストが引き続き変化を後押しする一方、岸田文雄首相率いる新政権の下で政府の圧力が強まる見込みはほとんどないとカーン氏は指摘する。

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  カーン氏は自らのファンドについて、昨年の新型コロナウイルス感染拡大を発端とする株価のゆがみが一因となり、予想を上回るパフォーマンスとなっていると説明。ファンドの規模をできれば「1、2年」で20億ドル程度に拡大するほか、TOPIXの動向にかかわらず、年8%のプラスリターンを確保することを目指していると述べた。

  同ファンドはガバナンスが良好で過小評価されている企業30社程度の株式を買い、ガバナンスが不十分で過大評価された約60社の株を売っている。過小評価されたロング銘柄と過大評価されたショート銘柄のバリュエーションの差が縮まるには「数年」かかる見通しで、十分なリターンを得られるとカーン氏は想定。「状況は変わっていくが、そのペースは緩やかだろう」との見方を示した。

原題:
Long-Short Fund Sees Chance in Widening Governance Gap in Japan(抜粋)

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