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中国を諦めた「フォートナイト」、規制強化で世界的大人気ゲーム受難

  • 3年間の試験投入では利益は一銭も出なかった
  • テンセントとネットイースが海外に活路を求める事実、多くを物語る

エピック・ゲームズは2018年、人気のビデオゲーム「フォートナイト」を中国に投入する準備を進めていた。同ゲームは世界市場で1年前にリリースされ、既に10億ドル(約1140億円)余りを稼いでいた。

  エピック株主のテンセント・ホールディングス(騰訊)は中国でこのゲームを成功させようと狙っていた。中国人ゲーマー1000万人が同年夏に事前登録するという順調な滑り出しだったが、結局、中国市場で正式展開するには至らなかった。エピックは15日、中国でフォートナイト用サーバーを閉鎖し、3年間の試験期間が終わる。利益は一銭も出なかった。

  中国で新しいビデオゲームを販売するには政府の認可が必要だが、そのプロセスは一段と厳しくなっており、予測できないことも多い。今年は特に厳しかった。政府は100日以上にわたり、新たなゲームのリリースを認めていない。

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リーグ・オブ・レジェンドの2020年世界大会を見守る観客たち(上海、2020年10月31日)
 

  認可の凍結は、ビデオゲームが子供に与える影響をより詳細に調べようとする中国政府のタイミングと重なっている。政府は今年、子供たちがゲームで遊ぶ時間を基本的に週3時間に制限。政府系メディアの1つはゲームを「精神的アヘン」と指摘するほどだった。こうした言葉遣いはその後なくなったが、ビデオゲームの統制を望んでいることを政府は明確にしている。

  習近平国家主席が1年余り続けているテクノロジー企業に対する大掛かりな締め付けには、経済上と社会上の目標が存在する。新たな規則は教育や電子商取引、金融、エンターテインメント、ギグエコノミーに至る全てを標的とし、投資家を混乱させ、中国の資産家は脅威を感じている。中国の膨大な人数の若いゲーマーを呼び込もうとしていた各社にとって、すでに不透明化していた見通しはかつてないほど悪化しているように見える。

  ライアットゲームズの「リーグ・オブ・レジェンド」など大ヒットゲームを扱うテンセントにとっての打撃は明らかだ。同社が10日発表した7-9月(第3四半期)決算は増収率が13%と、04年の上場後で最低。ゲーム分野の収入の伸びは海外の20%に対し、中国国内では5%にとどまった。テンセント幹部は、一時的な混乱だろうと投資家に説明。規制を巡る不確実性が後退すれば、リリースに向けて新しいゲームが多数控えていると明らかにした。テンセントの広報担当者はこれ以上のコメントを控えた。

  エピックに大きく出資し、ライアットゲームズを買収したテンセントは今、世界中でゲームのスタートアップ企業の一部に積極投資している。中国勢では他にネットイース(網易)などが海外を見据える方向で戦略を調整。日本やカナダなどでスタジオを設立したり、米アクティビジョン・ブリザードやフランスのユービーアイソフト・エンターテインメントなどゲーム大手から人材を採用したりしている。

  外資系ゲーム会社は「中国以外の主要市場に焦点を絞る必要があるが、中国で好機が生じた際にそれを生かす準備を備えていなければならない」と、ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、マシュー・カンターマン氏は指摘する。「中国のゲーム市場を率いるテンセントとネットイースが次の成長を海外に探っているという事実は、国内の見通しについて多くを物語っている」と述べる。

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リーグ・オブ・レジェンドの2021年世界大会(レイキャビク)
Photo: Getty Images

  中国でのゲーム業界締め付けには周期性がある。当局は常にインターネットとメディアに対する厳しい管理を目指し、特にビデオゲームは長く敵視してきた。ソニーグループの「プレイステーション」が中国での販売を認められたのは15年で、それまでは10年以上にわたって禁止されていた。

  誰もがモバイル機器を使う時代になって状況は少し緩和されたが、政府の許認可が義務付けられていたり、グローバルなゲーム開発会社がゲーム配信で中国のパートナーと協力したりする必要があるなど、欧米では見られない規制上の障壁は残っている。習主席が子供の視力にゲームが悪影響を及ぼすとの懸念を示すと、政府は18年にライセンス供与を凍結し開発各社を驚かせた。

  この年、フォートナイトは試験的投入の承認を得ることができたが、ゲーム内のアバターを飾るデジタルアイテムの購入が可能なバージョンの提供は認められなかった。テンセントがフォートナイトを本格始動できなかったことや中国ゲーム市場の広範な問題で、同社の時価総額は18年の約7カ月間でほぼ半減。市場価値2000億ドルが吹き飛んだ。

原題:‘Fortnite’ Gives Up on China, Unable to Win Beijing’s Approval(抜粋)

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載)
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