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格安で急成長「業務スーパー」も値上げモード、物価上昇で-神戸物産

  • 「あらゆるコスト上昇」、対抗へ物流倉庫のM&Aも視野-沼田社長
  • 株価は過去7年で60倍も、ブランドイメージ刷新が今後の課題と識者

原材料価格や輸送費の高騰などを背景に国内でも物価上昇の兆しが出ている中、食品を中心とした格安販売で消費者の支持を集めてきた「業務スーパー」を展開する神戸物産は大規模な値上げに踏み切った。今後も値上げ基調は継続する可能性がある。

Inside Kobe Bussan's Gyomu Super
業務スーパー伊川谷店(10月21日・神戸市)
Photographer: Buddhika Weerasinghe/Bloomberg

  神戸物産の沼田博和社長は10月28日のオンラインでのインタビューで、「原材料のコストアップ、資材、運賃、光熱費などあらゆるコストが上がっている」と指摘。同社は9月、大規模な値上げを実施した。今後も「適正な値上げを行うのが前提になる」と述べた。

  神戸物産では7月に欧米からの輸入品の一部を対象に値上げを実施。その後も海上運賃の高騰などでコストがかさんだため、9月にアジアから輸入しているプライベートブランド(PB)200品目の値上げに踏み切った。値上げ幅は平均で約8%。商品価格の見直しは随時行っているが、今回の規模の値上げは2008年の小麦価格高騰や13年の急速な円安以来という。

  沼田社長は今後はPBに限らず他社メーカーのナショナルブランド(NB)商品に関しても「値上げをせざるを得ない」と述べ、メーカーからの値上げ要請を基に価格の見直しを進めていく考えを示した。

  業務スーパーの店舗では商品が入った段ボールがいくつも積み上げられ、客はそこから直接商品を取っていく。うどん1玉19円、食パン1斤67円という安さが最大の売りだ。

  店舗を倉庫代わりにしてバックヤードのスペースを極端に切り詰めたり、自社独自のPB商品を積極的に取り扱ったりすることで低価格を実現した。アパレルのファーストリテイリングや家具販売のニトリホールディングス(HD)と同じ、製造小売り(SPA)に近い業態だ。

  沼田社長は顧客の支持を維持するためには単に値上げだけでなく、コスト削減を急ぐ必要があるとの考えを示した。ここ数年PBが大幅に伸びたため輸入商品を保管する倉庫の確保が追い付かず、拠点が分散してコスト増要因になっていることから、少数の規模の大きい拠点にまとめることを念頭に「物流倉庫関係の企業と良い縁があれば検討したい」と述べた。

Kobe Bussan President Hirokazu Numata
 神戸物産・沼田社長
Source: Kobe Bussan Co.

  急成長を続けてきた神戸物産の株価は新型コロナウイルス感染拡大による巣ごもり需要の急増を受け、上昇ペースがさらに加速。過去7年あまりで最大で約60倍となり今年8月には時価総額が1兆円突破した。9月の決算発表後、株価は調整されたが、10月以降は再び上昇傾向を続けている。

  独立系の株式調査会社、雨宮総研の雨宮京子社長は神戸物産について、ユニークな業態で競合はおらず、テレビ番組の出演などによるブランドイメージ戦略も成功していると評価。最近の株価の反発について「市場は値上げを許した」と述べた。

  ただ、人口減少や新型コロナの収束状況など、業績が頭打ちする懸念もある。雨宮氏は今後は安さだけではなく幅広い層に受け入れられるようなワンランク上のブランドイメージを打ち出せるかが焦点となり、「マーケットにとって特別な存在」になる必要があると話す。

  直近四半期の数字を基に算出した同社の粗利率は12%と、スーパーの競合より高いもののファストリ(49%)やニトリHD(53%)よりも圧倒的に低い。

  年初には100倍を超えていた神戸物産の株価収益率(PER)は現在約52倍。「食品のユニクロやニトリにならないとPER50倍は正当化できない」と雨宮氏は指摘する。「フリースでユニクロがイメージの一掃に成功したように、ブランドイメージを変えることができれば株価上昇の余地はある」。

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