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債券市場のメッセージ不明瞭、実質利回り低下は何を反映しているのか

  • 30年物TIPS利回りが過去最低のマイナス0.6%付近に
  • 「一つの包括的なテーマ」を特定するのは難しい-CIBC
A Wall St sign hangs at the New York Stock Exchange (NYSE) at Wall Street,

A Wall St sign hangs at the New York Stock Exchange (NYSE) at Wall Street,

Photographer: ANGELA WEISS/AFP

米国債保有者はますます大幅なマイナス利回りを受け入れつつある。今週はインフレ期待上昇と名目金利低下で、いわゆる実質利回りのマイナス幅が拡大した。

  10日に米消費者物価指数(CPI)発表を控え、実質利回りを示す30年物米インフレ連動債(TIPS)の利回りは過去最低のマイナス0.6%付近となった。

  実質利回りの大きな低下は通常、債券市場が経済成長について非常に悲観的で、成長鈍化によって金利が何年も低くとどまると予想していることを示唆する。しかし米経済が新型コロナウイルス禍による悪影響を脱しつつある今、米国債市場の動きはそのような単純な説明を否定する。

  ストラテジストの見方では、実質金利低下はトレーダーのポートフォリオ調整や高インフレが経済に根付くことへの一部での懸念など複数の要素を反映している。

The 30-year inflation-linked Treasury yield touched a record low
 
 

  パシフィック・インベストメント・マネジメントの短期ポートフォリオ管理および資金調達担当責任者、ジェローム・シュナイダー氏は、実質利回りの低下傾向は、実はインフレ期待の高まりに関するものだと言う。「結論として、現在の実質利回りが魅力的だと感じるということは、長期インフレが長い間かなり高いままになると考えていることを意味する」と同氏は述べた。

  その見解に同氏自身はくみせず、消費者物価上昇は来年1-3月(第1四半期)に弱まり始めると予測。「米金融当局がより安心できる水準にインフレ率が下がれば、実質金利のマイナス幅も小さくなるだろう」と話した。

  ただ、これまでのところ、債券市場はインフレリスクが低下するのではなく高まるとの見方を反映している。10年物TIPSの利回りはマイナス1.2%付近に低下。名目債との利回り格差で、インフレ見通しの指標とされるブレークイーブン・レートは1月上旬の2%前後から約2.64%に拡大した。

  CIBCプライベート・ウェルスマネジメントの債券責任者、ゲーリー・プジージオ氏は、TIPS利回り低下にはさまざまな力の組み合わせが働いているとして、「一つの包括的なテーマ」を特定するのは難しいと指摘。その上で、「そこには否定的なメッセージがある。潜在成長率は低いし、予想インフレ率は高く、低い名目利回りを吸収してしまう」と話した。

  また、RBCキャピタルマーケッツの米国担当チーフエコノミスト、トム・ポーセリ氏は、債券市場が送るシグナルははっきりせず、成長とインフレに関する自身の見方に一致しないと語る。

  「成長見通しを反映しているはずはない。成長は非常に力強く、今年だけでなく22年も強い見込みだからだ。インフレかというと、インフレが鈍化することには疑問の余地がない。ほかに何があるのか分からない。それが問題だ」と述べた。

原題:Bond Market Flashes Mixed Messages as Real Yields Sink Deeper(抜粋)

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