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日産、今期営業益予想1800億円に増額、販売奨励金減で収益改善

更新日時
  • 生産停滞で在庫が減少、販売台数計画引き下げも収益性向上が上回る
  • 上方修正は「想定外」、従来の奨励金の多さが浮き彫りに、と識者

日産自動車は9日、今期(2022年3月期)の営業利益予想を1800億円(従来1500億円)に上方修正した。販売台数の減少で減収となるものの販売奨励金が減少したことから収益性が改善するとみている。

Nissan Headquarters Gallery Ahead of Earnings Announcement
日産本社
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大などで日産も夏以降、生産面で大きな制約を受け、今期の世界販売台数計画を従来の440万台から380万台に修正。それにより、今期の売上高見通しでは従来予想を下方修正した。

  日産のアシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)は同日のオンライン決算会見で、半導体不足による減産がある中、上期の販売台数200万台には在庫で対応した部分が含まれていたとし、下期は挽回生産をすることで計画する180万台を達成したい考えを示した。その上で、「われわれは慎重で前向きな姿勢で下期の予測を出している」と述べた。

  日産の発表資料によると、販売会社の保有分を含めた同社の在庫は9月末時点で28万台と過去1年間で最も低い水準まで低下している。

  営業利益では販売金融事業が好調なほか、為替の円安傾向も追い風になってブルームバーグが集計した市場予想の平均値1588億円を上回った。中間配当は見送った。

  グプタCOOは、中国合弁会社の比例連結ベースで今期営業利益率は2.8%になる見通しだとし、中期経営計画で掲げた同利益率「2%を上回ることができると確信している」と述べた。23年度末に同5%とする「目標に向けて順調に進んでいる」という。

今期(2022年3月期)業績予想
  • 売上高:8兆8000億円(従来計画9兆7500億円、市場予想9兆3894億円)
  • 営業利益:1800億円(従来計画1500億円、市場予想1588億円)
  • 純利益:1800億円(従来計画600億円、市場予想1068億円)

  ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは、日産の上方修正について「想定外でポジティブサプライズ」とコメント。7-9月期に販売台数が1割も減っているのにもかかわらず、700億円近く増益になっていたとし、「これまで多額のインセンティブ支出のために、もうけ損ねていたのが改めて浮き彫りになった」と述べた。

第2四半期(7-9月期)業績
  • 売上高:前年同期比1.1%増の1兆9388億円(市場予想2兆17億円)
  • 営業損益:634億円の黒字(前年同期48億円の赤字、市場予想17億円の赤字)
  • 純損益:541億円の黒字(前年同期444億円の赤字、市場予想167億円の赤字)

  世界的な半導体不足やコロナ禍による部品サプライチェーン(供給網)の混乱を背景に自動車各社の生産・販売見通しの下方修正が相次いでいる。独 フォルクスワーゲンが21年の納車見通しを引き下げたのに続き、先週決算を発表したトヨタ自動車 ホンダも今期の販売台数を下方修正した。

  

部品供給不足が長期化

日産の生産と販売は7月以降、前年割れが続く

出典:日産自動車

  生産の足かせとなっている半導体不足は、半導体メーカーの増産や東南アジアのコロナ感染減などにより改善に向かうとの声がある一方で、時期については見方は分かれる。米ゼネラル・モーターズは半導体不足が来年にかけて続く見通しを示したのに対し、米フォード・モーターの幹部は23年にかけて続く恐れがあると警告している。

  グプタCOOは、コロナ感染拡大でロックダウン(都市封鎖)が頻発した東南アジアでは「状況は良くなっているが完全には回復していない」と説明。また、自動車や他の業界で半導体需要が再び急増する可能性もあり、半導体不足は「継続するだろうとみている」と語った。

  また、グプタCOOは日産が11月29日に同社の長期的な方向性などを示す長期ビジョンを発表することも明らかにした。温室効果ガス排出量の実質ゼロ(カーボンニュートラル)達成に向けた具体的な活動計画や電動化や車載電池の戦略についても説明するという。

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(決算会見のコメントを追加して更新します)
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