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FRBも世界への影響警戒-中国の不動産セクター、社債売り広がる

  • 危険なのは中国の決定が遅きに失すること-マッコーリーの胡偉俊氏
  • 世界の経済成長にリスクをもたらし、米国に影響を与え得る-FRB

ほんの数週間前、ウォール街のアナリストやセントラルバンカーは、中国恒大集団の債務危機で「リーマン・ショック」の再発はないだろうと投資家に伝えていた。中国当局の言い分も危機は「封じ込められる」というものだった。

  債券売りが中国の不動産セクター全体に広がった今、世界の金融システムに対する潜在的なリスクを巡り懸念が強まっている。

   米連邦準備制度理事会(FRB)は8日、半期に一度の金融安定報告を発表し、中国の不動産セクターで起きることが金融市場に影響を与え、経済成長を脅かす恐れがあると警告した。香港金融管理局(HKMA、中央銀行に相当)はリスク波及の可能性を強調し、市中銀行に対し中国不動産へのエクスポージャーを開示するよう求めたと地元メディアが報じた。

米FRB、高リスク資産の価格上昇やステーブルコイン台頭に警告 

  債券売りの主因は、不動産開発会社がバランスシート上に計上している借入金よりも多くの負債を抱えているのではないという懸念だ。さらに悪いことに、ドル建て債市場から事実上締め出された不動産各社の借り入れコストは急上昇しており、満期を迎える債務の借り換えが困難な状況だ。中国で売上高トップ10の不動産開発会社が抱える負債は合わせて1兆6500億ドル(約186兆円)。

  「中国は金融システムのストレステスト(健全性審査)を行っているように見える」とマッコーリー・グループの中国経済責任者、胡偉俊氏は指摘。「ストレス下でのみ、簿外債務がどれだけあるか、システムがどれだけの圧力に対応できるかが分かる。だが、危険なのは中国の決定が遅きに失することだ」と語った。

China's high yield credit spreads are at a record
 
 

  経済へのリスクにもかかわらず、政策当局が不動産市場の抑制策を緩和する兆候はほとんどない。銀行保険監督管理委員会(銀保監会)の郭樹清主席は1年前、中国の金融安定にとって「最も大きな灰色のサイ」が不動産市場だと述べた。灰色のサイとは、その大きさにもかかわらず見過ごされがちな脅威だ。中国共産党の習近平総書記(国家主席)は所得格差の縮小を目指す「共同富裕」運動を進め、終身の最高指導者であり続けようとしており、来年の3期目就任をにらんでいる。

  ノムラ・インターナショナル香港の陸挺氏らエコノミストは8日公表したリポートで、「中国政府による不動産規制のほとんどはしばらく維持され、中国の不動産セクターとマクロ経済の両方で最悪期はまだこれからの公算が大きい」と分析。一方で政策当局は「今後数カ月間にデフォルト(債務不履行)が悪化するのを防ぐために支援強化を選択する可能性もある」ともコメントした。

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  現在の債券売りを好機と捉える向きもある。 ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントは中国の不動産開発会社が発行した高利回り債を通じて「適度なリスク」を加えているとポートフォリオ運用チームのアンガス・ベル氏が先週のインタビューで述べた。連鎖のリスクを市場が過大評価しているとの見方だ。

  ただ、セントラルバンカーは警鐘を鳴らし始めている。香港の信報財経新聞(HKEJ)が関係者の話として、香港の銀行は本土の不動産開発会社向けの融資・与信などのディスクロージャー(情報開示)が義務付けられると報じた。

  FRBは金融安定報告で、「中国の金融面のストレスはリスクセンチメントの悪化を通じて世界の金融市場を緊張させたり、世界的な経済成長のリスクとなったり、米国に影響を及ぼしたりする恐れがある」と指摘した。

  中国側も警戒感を抱いている。銀保監会の郭主席は今年3月、国内の不動産バブルや外国資本の急速な流入、高値圏にある世界の金融相場など多くのリスクに懸念を示した。

中国、海外金融市場や国内不動産バブルを「懸念」-銀保監会主席 

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  マッコーリーの胡氏は「今のところシステミックリスクの水準が低いままだとしても、波及リスクは非常に現実的だ」としており、「本土市場がパニックに陥り、経済リスクが非常に大きくなり、来年の5%成長を死守することができないようになれば、中国は行動を起こす必要があると思う」と話した。

原題:China Property Stress Spurs Fed Warning as Bond Losses Widen (2)(抜粋)

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