コンテンツにスキップする

SPAC検討を提言、投資家と起業家が「納得し上場」-資本主義会議

  • IPOは起業家の調達が少ない、証券会社顧客がもうける構造と指摘
  • 四半期開示制度見直し検討も明記、短期の株主価値重視傾向を問題視

岸田文雄首相が設置した「新しい資本主義実現会議」は8日、未上場企業の買収を目的とした特別買収目的会社(SPAC)導入の検討を盛り込んだ緊急提言をまとめた。

  提言では、SPACは買収時にスタートアップと投資家が合意して価格を決めるため、「お互いに納得した価格で上場できる仕組み」だと評価。起業家が株を売る価格(公開価格)を初値が大きく上回り、起業家の資金調達額が少ないという現在の新規株式公開(IPO)の問題を「解決する上でも意味がある」と指摘した。

Japan's Kishida to Forge Ahead With Economy Plans After Win
岸田文雄首相
Photographer: Rodrigo Reyes-Marin/Zuma Press/Bloomberg

  日本の上場の仕組みは「スタートアップではなく証券会社の顧客がもうける構造」との指摘があるとも記載した。IPO時の公開価格設定プロセスについて、公正取引委員会が実態把握を進める。 

  提言は、岸田首相が掲げる成長と分配の好循環の実現に向け、政権が最優先で取り組むべき施策をまとめた。コモンズ投信の渋沢健会長やZホールディングスの川辺健太郎社長らが参加している。

  岸田首相は「今回の経済対策において実行に移すことで早速新しい資本主義を起動していきたい」と話した。

岸田首相の「新しい資本主義会議」、渋沢コモンズ投信会長が参加 

  日本経済を巡っては、「1980年代以降、短期の株主価値重視の傾向が強まり、中間層の伸び悩みや格差の拡大、下請け企業へのしわ寄せ、自然環境等への悪影響が生じている」ことを問題視。企業は「株主だけではなく、従業員も取引先も恩恵を受けられるように経営を行うことが重要」としている。3カ月ごとに業績を発表する四半期開示制度の見直し検討も明記した。

  経済安全保障の分野では、日本での工場建設を決めた台湾積体電路製造(TSMC)をはじめ、先端半導体の国内立地を複数年度にわたって支援し、サプライチェーン(供給網)を構築することを目指す。

  成長戦略としては、クリーンエネルギーの開発を重視し、2030年に自動車用の電池や材料の国内生産能力を大幅に高める。水素ステーションや充電設備の整備を支援し、電動車のガソリン車並みの利便性を実現する。

他の提言の内容
  • GOTOトラベル、再開に向けた準備を整える
  • 財政に複数年度の視点の反映を検討
  • 来年度税制改正で、賃上げに積極的な企業への控除率引き上げ
  • 10兆円規模の大学ファンドを今年度内に実現し運用開始
  • 先端科学技術の研究開発を複数年度にわたり支援する枠組み設ける
  • 公取委でクレジットカード手数料の実態調査、利用環境を整備
  • 小型モジュール炉の実証など原子力新技術の研究開発促進
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE