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世界の中銀、超緩和からの脱却は「非同期」-投資家想定とも異なる

  • 米連邦準備制度はテーパリング開始、豪中銀はYCC終了
  • 英中銀は市場予想裏切る-「世界の金融政策は興味深い段階」

世界中で中央銀行が金融引き締めへとかじを切り始めたが、その道筋は投資家が現在考えているよりも長く、投資家の想定とも異なるものになりそうだ。

Central Banks Start Shifting

Policy makers across the world have begun to hike rates

Source: Bloomberg

Note: Mapped data show rate changes for distinct central banks

今週は

  • 米連邦準備制度が資産購入の縮小を開始することを確認したが、労働市場がさらに回復するまで利上げは検討しないとパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が述べた
  • オーストラリア準備銀行は3年物国債の利回り目標を定めたイールドカーブコントロール(YCC)を終了させたが、近い将来に利上げをする意向はないと示唆した
  • イングランド銀行は市場の予想に反して金利を据え置いたが、「今後数カ月」内の利上げが必要だとの見解を堅持した
  • ポーランドとチェコが利上げし、ノルウェー中銀は9月に続いて12月に再び利上げを実施することを示唆した

  インフレが強まり成長が鈍化する中で、先進国・地域のほとんどの中銀は、行動が拙速か遅過ぎるかのリスクの間で均衡を模索しなければならない。こうした状況では市場を驚かせたり政策の過ちを犯したりする可能性が高まる。

  今週は世界の国債相場が上昇した。10月の一斉売りの原動力だった利上げ観測が崩壊したためだ。米10年債利回りは4日に8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し1.53%となった。豪3年債の利回りは10年で最大の低下。先週は2001年以来の急上昇だった。

  結論として、各国・地域当局は慎重に、それぞれのペースで政策転換を進める公算が大きい。一方、投資家はイングランド銀について来年2月、米連邦準備制度については同年6月の利上げを予想。欧州中央銀行(ECB)さえも22年中のある時点でハト派スタンスを転換させると見込む。

  エグサンテ・データのシニアアドバイザー、クリス・マーシュ氏は「約50歳以下の人の記憶にある限りで世界の金融政策は恐らく最も興味深い段階に入りつつある」と述べた。

  JPモルガン・チェースのエコノミストらは来年末までには同行が政策を注視する31の中銀のうちほぼ半分が政策金利を引き上げているだろうと見込む。

  政策転換の背後にあるのはインフレが一時の想定よりも幅広く持続的だという認識だ。新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)後の需要とサプライチェーンのほころび、労働市場のタイト化、商品相場上昇が、より長期にわたって物価を押し上げる可能性がある。

  こうした圧力が、多くの中銀当局者の期待通りに薄れていくかどうかが、今後の流れを決定付けることになる。

Eurodollar bets on a June 2022 Fed rate hike remain elevated
 
 

  全ての当局者が08年と11年のECBの過ちを繰り返したくないと考えている。ECBは利上げをしたが、インフレの脅威はすぐに消え去り成長の勢いをそぐことになった。

  米国を含め、成長と雇用の回復を確実なものにするために、歴史的な政策よりも高いインフレ率を容認するという新戦略の試運転を望んでいる当局もある。

  これに対しては、長く待ち過ぎている間にインフレが沈静化せずインフレ期待が企業や家計に根付いてしまえば物価スパイラルが起こり抑制が難しくなるというリスクがある。

パウエルFRB議長
出典:ブルームバーグ

  エコノミストらは大半の中銀が慎重に事を進めるとみている。JPモルガンは来年末の世界の政策金利平均が19年の平均より0.75ポイント程度低くなると予想する。

  シンガポール銀行のチーフエコノミスト、マンスール・モヒウディン氏は「インフレリスクについて中銀の見方は分かれている。従って、債券市場は既に22年の利上げを織り込み過ぎだと思われる」と述べた。
   
  野村ホールディングスのロブ・スバラマン氏らエコノミストは、新型コロナ禍からの打撃が経済成長率を抑えるため今回のサイクルの利上げは前回よりも限定的になると予想する。エコノミストらは向こう10年の成長率が2.5%前後と、金融危機後の2.8%や08年より前の3.4%を下回るとみている。

  リポートは「インフレを抑制したり経済の過熱を防いだりするのに、それほど積極的に金融環境を引き締める必要はないだろう。いわゆるターミナルレート(利上げサイクルの最終到達点)はこれまでのサイクルより低くなる公算が大きい」と分析している。

  また、ベレンベルク銀行のエコノミストらは、新型コロナのような衝撃が襲った際は世界の中銀が一斉に金融緩和をするが、利上げは各中銀がそれぞれのペースで行う傾向があると指摘。「非同期の政策正常化」を予想した。

原題:
Central Bankers Plot Course Through End of Easy Money Minefield(抜粋)

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