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中国、ワクチン外交てこに攻勢-コロナ以外も新興国に売り込み

  • 今回のパンデミックが世界を変えた一例-米CFRのボリーキー氏
  • 製造や安全性、有効性に関する透明性の欠如が懸念-ダービン教授
A Walvax worker with doses of its Covid vaccine.
A Walvax worker with doses of its Covid vaccine. Photographer: Jiang Qiming/Getty Images

中国が新型コロナウイルス感染症(COVID19)ワクチンの輸出で世界をリードしている。輸入しているのは主に、有効性の高い欧米製ワクチンを購入することができない国々だ。中国は今、コロナのパンデミック(世界的大流行)で得た勢いをてこに日本脳炎や肺炎など他の疾患を予防するワクチンを海外で積極的に売り込んでおり、米国のファイザーメルクなどの世界有数の製薬会社と競い合っている。

  こうした動きはまた、中国のソフトパワーを世界に広めようと図る習近平政権の戦略にも寄与することにもなる。セルビアのブチッチ大統領は同国に400万回分を超えるコロナワクチンを供給し、鉄鋼業などの現地企業を支え、地政学的な支援を提供したとして、首都ベオグラードに習国家主席の像が建てられるかもしれないと述べた。

  国有の中国医薬集団(シノファーム)はベオグラード近郊に建設されている広大な工場のパートナーだ。セルビアのブルナビッチ首相はこの工場で「他の疾病ワクチンを製造することができるようになる。セルビア向けだけでなく輸出用にもなる」と語る。モロッコでは中国の雲南沃森生物技術が小児肺炎ワクチンを販売。インドネシアやエジプトでは他の中国企業がインフルエンザや肺炎などの予防接種薬の販売をしている。自国のコロナワクチン輸出成功がきっかけだ。

  米外交問題評議会(CFR)のグローバルヘルスプログラム担当ディレクター、トーマス・ボリーキー氏は「これまで中国はワクチンの輸出国ではなかった。パンデミックさなかのこの変化は、今回のパンデミックが世界を変えた一例だ」と指摘。 「中国はこれまでなかったやり方でワクチンの世界的プレーヤーになることができた。それは今後も続くと思う」と述べた。

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シノバック製ワクチン(カンボジア)
 

  ボリーキー氏によれば、今のところ中国の製薬会社は低所得国で勢力を伸ばす公算が大きく、つまり新興国市場で主に低コストが売りのインド勢と競合することになる。

  ただ、中国製ワクチンの効果を巡る疑念は根強い。臨床試験での有効性を示す数値が低く、大規模接種を実施した多くの国でも新たな感染が広がったためだ。タイやブラジルなどの中国製に頼る一部の国は、ファイザーや米モデルナが開発したメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンに目を向けつつある。これらのワクチンは中国製より高い有効性を示している。

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シノバック製ワクチンの接種(インドネシア)
 

  中国の製薬会社と衛生当局は国産ワクチンを投与された一部の人々が深刻なアレルギー症状に見舞われたり、死亡したりしているといわれているにもかかわらず、安全性の問題に関する詳細をほとんど公表していない。米ジョンズ・ホプキンズ大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のアンナ・ダービン教授は「多くの人々が抱えている懸念の1つが製造や安全性、有効性に関する透明性の欠如だ」と指摘する。

  研究調査に基づけば、中国製ワクチンは安全だ。中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)は同社のコロナワクチンが入院と死亡を80%余り減らしたと繰り返し主張している。

  ただ中国企業側も国際的な臨床試験を管理し、科学的なプロトコルに従うという点で極めて重要な教訓をパンデミックが教えてくれたと認めている。雲南沃森生物技術の黄鎮副会長は「ファイザーからもモデルナからも学びながら、全てを厳格かつ同じ基準に沿って行っている」と話した。

原題:
China is Leveraging its Vaccine Diplomacy Beyond Covid Shots(抜粋)

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載)
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