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日本株の「黄金月」到来、光照らす2要因-10年連続の月間上昇か

更新日時
  • 11月のTOPIXは9年平均4.4%高、米欧中主要指数の成績上回る
  • 米株高傾向や日本企業特有の決算特性が出遅れ修正の余地生むとの声

日本株で近年好成績を上げる特異月の11月が到来した。もともと海外に比べて下落月が多くなりがちな日本株の中で、昨年まで9年連続で負けなしと唯一の「黄金月」的存在。海外主要指数をしのぐ好成績には、海外と国内の2つの要因が重なるためとの声がある。

  11月のTOPIXは昨年までの過去9年間ですべて上昇してきた。月別の平均パフォーマンスも4.4%高と最高だ。2位の9月(2%高)、3位の4月(1.9%高)を上回る。11月の好成績は海外と比べても目立ち、米国のS&P500種株価指数(3.1%高)、欧州のストックス600指数(2.5%高)、中国の上海総合指数(1.9%高)などをアウトパフォームした。

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  2012年から20年まで過去9年間のTOPIXの月別騰落率で、すべて上昇したのは11月。次いで9月と10月の7勝2敗、そのあとは3敗が複数月という内訳になっている。一方、最悪月は8月の2勝7敗。
 

  黄金月を輝かせたのは米国からの追い風だ。長期の景気拡大期にある米国の株式相場は右肩上がり。米S&P500種は過去2回の大統領選も含めた11月が過去9年負けなしでTOPIXと同じだ。

  市場には、多くの米ファンドの決算期日の9月末が過ぎて、新規資金が流入しやすい需給要因を指摘する声がある。フィデリティ投信の重見吉徳マクロストラテジストは米国株高を発端に、資金フローの影響や景気敏感株としての特性から株価連動性の強い日本株にも「資金が流入することはあり得る」と語った。

国内要因も

  もっとも米国の事情だけでは説明できない。ストックス600指数は11月が7勝2敗、上海総合指数は5勝4敗と、必ずしも世界の主要指数が米株高の影響をそのまま素直に反映しているわけではない。TOPIXの上昇率をみてもS&P500種指数を4割強上回り、複合要因で動いたともいえる。

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大和証券グループ本社のトレーディングルーム.
 

  この点、日本企業の決算発表の特性が株価に影響を与えているためだとの分析がある。みずほ証券の倉持靖彦マーケットストラテジストは、半期決算シーズンでは、業績が悪い場合は悪材料の出尽くし、慎重見通しの場合は企業が上方修正に動く、という両面で「業績に対する安心感が出やすい」とみる。期初に保守的な業績予想を出す傾向がある日本企業は、7-9月の半期決算まで柔軟に業績予想を変更しないためだ。

  企業業績への安心感は、11月から上昇がスタートして年末に向けての株高傾向となる「掉尾の一振(とうびのいっしん)」への期待も生じやすくする。みずほ証券が集計した企業業績のモメンタムを示すリビジョン・インデックスをみると、過去9年のうち5回(12-15年、17年)で10月がボトム。2回(19、20年)は8月をボトムにしながらも10月から顕著な改善を示していたという。

海外勢からの重要なメッセージ

  三井住友DSアセットマネジメントの石山仁チーフストラテジストは、この時期に海外投資家が日本株へ資金を振り向けることや買い戻しが多いというのも重要なメッセージだ、と話す。10-12月は上期決算時に業績が修正されやすい日本の業績変化率が米国を上回るケースが多いからだという。

  米ダウ工業株30種平均と日経平均株価ベースの1年先の1株利益予想の変化率について石山氏が過去6年にわたって比較したところ、日本が米国を上回る成績を示した4回はすべて海外勢が11月を含む10-12月に日本株を買い越していた。

  海外勢にとって米株高でリスク許容度が高まり、資金の振り向け先を考えた場合、決算の出そろう11月の日本株は米国株のパフォーマンスを上回ることができる貴重なチャンスと映るというわけだ。

10年連続で上昇か

  9年連続となった11月の株高はことしも続くのか。みずほ証の倉持氏は通期業績には少し上振れ余地があり、「11月上旬が株価の転機になって株高となる可能性がある」と予想した。米債務上限問題が解決すれば年内の不透明感は出尽くす一方、景気が悪くないことは株価下支えになると想定。企業業績は4-6月期の上振れ分が残る中で7-9月は悪くないと見通す。

  また、三井住友DSアセットの石山氏は、ことしは10月31日投開票の衆院選で自民が絶対安定多数を得て安定政権が確定したことも追い風になるとして、「『最高のシナリオ』になった。株高アノマリーは継続しそう」と話す。一方でグローバル景況感の勢いは昨年の上向きからことしは下向きに変化していることは不透明要因だとして、「経済対策の早期策定でもう一段の株価上昇に結びつけられるかが焦点」ともみていた。

  昨年の11月を振り返ると月間で11%高と上昇率は約7年半ぶりの大きさになり、21年3月まで5カ月連続上昇の起点になった。米大統領選をはさんで月初から7連騰していたが、ことしは11月1日のTOPIXが2.2%高の2044.72と好スタートを切った一方、2日は軟調に推移している。過去9年間の月間平均上昇率をことしのTOPIXにあてはめて試算すると、月末で2089近辺まで上昇する。

ことし11月は好発進
 
 
(最終段落に昨年との比較などを追記します)
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