コンテンツにスキップする

共産党との野党共闘で隔たり、「旧民主」同士が激戦-衆院選東京18区

  • 長島氏「米との関係大丈夫か」、菅元首相「内閣は共にしない」
  • 選挙に勝つための野党一本化、先をどうするかが課題-日大・岩井氏

衆院東京18区は、野党共闘を進める立憲民主党の菅直人元首相と、共産党との関係を巡る立場の違いから自民党に籍を移した長島昭久元防衛副大臣による事実上の一騎打ちとなっている。安倍・菅政権の4年間の政権運営に加え、外交・安全保障政策が大きく異なる野党間の連携をどう評価するか、有権者は判断を迫られることになる。

  「本当に政権は持つのか。米国との関係は大丈夫か」。公示前日に開かれたオンライン討論会では、長島氏が激しく菅氏に詰め寄った。 

  長島氏は米国で学び、外交・安全保障政策に携わることが政治家を志す原点だった。自衛隊を憲法違反とし、日米安全保障条約破棄を訴える共産党と当時の民進党が協力関係を深めることに「強い危惧を持った」という。「政治信念を曲げてまで党に残ることはできない」と、同党を離れた理由を語った。

JAPAN-NUCLEAR-TSUNAMI-DISASTER-ANNIVERSARY
国会の外で反原発のスピーチを行う管元首相(3月・都内)
Photographer: Philip Fong/AFP via Getty Images

  対する菅氏は、「内閣は共にしないというのが4党合意だと理解している」と説明した。立憲、共産、社民、れいわ新選組の4党は、脱原発や消費減税など衆院選で訴える共通政策で合意しており、候補者の一本化を進めた。

  共産との協力に関しては、選挙戦で自民から立憲への攻撃材料となっている。21日、長島氏の応援演説に立った甘利明幹事長は、与野党とも「外交安保政策など国の土台になることは共通していないといけない」と強調。共産の新綱領は天皇制に否定的だと指摘した上で、野党との戦いは「政権選択選挙を超えて、体制選択選挙だ」と聴衆に迫った。

  立憲の枝野幸男代表は、政権交代した場合でも共産から閣僚は起用せず、「政策を実現する範囲での限定的な閣外からの協力」とすることで合意したと表明している。

  2009年から3年3カ月の民主党政権の後、安倍政権下で野党はまとまりを欠き、過去3回の衆院選はいずれも自民党が大勝した。再編や分裂を繰り返してきた野党だが、20年に立憲と旧国民民主が合流することで、衆院で100人を超える野党第1党となった。

衆院選の各党の獲得議席

出所:総務省

  4年ぶりの衆院選は、新型コロナウイルス対応を中心に政権への批判が高まり、一時は自民にとって逆風の選挙戦と思われていたが、感染者急減と岸田文雄政権発足で風は弱まったようにみえる。

  立憲の枝野氏は19日の第一声で、「ほぼ10年ぶりに国民の皆さんに選んでいただける、政権選択の選挙だ」と訴えたが、野党の支持率は低迷したままだ。岸田政権発足後初の国政選挙となった参院静岡選挙区の補欠選挙では勝利したものの、報道各社の情勢調査では、自民・公明両党で過半数(233議席)となる可能性が高いとの分析で一致している。

  日本大学大学院の岩井奉信講師は、与党で過半数を確保しても議席を減らせば「自民の力は弱くなり、来年の参院選に向けて党内政局になる可能性がある」と指摘する。立憲は共産と組むことで小選挙区で躍進する可能性があるとする一方、「選挙に勝つための一本化なので、その先をどうするかが大きな課題になる」と語った。

LDP member Akishisa Nagashima
街頭に立つ長島元防衛副大臣(19日・都内)
Photographer: Emi Nobuhiro/Bloomberg

  街頭に立つ長島氏は、「自民党公認候補として戦うのは今回が初めて。活動を始めた頃は相手の背中さえ全く見えなかった」と語る。民主党政権で首相補佐官や防衛副大臣を歴任し、19年に自民に入党。20年近く活動していた21区を離れ、菅元首相が地盤を持つ18区に移った。

  長島氏は民主党から出馬した初めての衆院選で菅氏の支援を受けており、「党本部から選挙区が提示された時には、天を仰いだ」という因縁の対決だ。コロナ禍での活動には制約も多かったが、元首相という強敵を「絶対逆転できると思っている」と意気込む。

  菅氏も、かつて同じ党で目を掛けていた長島氏との戦いに力が入る。「昔から縁があったが、彼からの説明がない」と不快感を隠さない。

  40年の活動で地元に浸透するが、街頭や会員制交流サイト(SNS)での発信を強化。有権者には、東日本大震災と原発事故から10年の節目に合わせ、当時の首相として危機管理の重要性を説く。「自民党政権から、野党を中心とした政権に作り替えていく」と再度の政権交代を訴える。

  日本大学の岩井氏は、選挙では与野党ともに「分配」政策を掲げており「国民からは違いが分からない」と話す。立憲が衆院で100人を超える勢力となったことは政権交代の可能性が出てきたことを意味するが、「本気で政権交代するなら政党の支持率のベースを増やしていかないといけない」と語った。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE