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台湾総統の「双十節」演説、米中間の新たな火種にも-「二国論」想起

  • 台湾と中国は互いに「従属せず」-蔡英文総統
  • 習主席は異例の沈黙-中国外交官は演説非難するよう米に働き掛けか

中国と台湾の関係を考えれば、中台が互いに「従属しない」ということは自明に思われるかもしれない。だが、台湾の蔡英文総統がこの表現を使ったことが波紋を広げている。米中関係の新たな火種となる恐れもある。

  蔡総統は今月10日、建国記念日に当たる「双十節」での演説で、中華民国と中華人民共和国は「互いに従属しない」と表明。台湾側は中国共産党が台湾を統治したことは一度もないという事実を反映し、現状維持をあらためて指摘したと主張している。

  だが、中国にとってこの言い回しは、約20年前に米中間の緊張を高めた考え方を想起させるものだった。北京では国務院台湾事務弁公室の報道官が「二国論をまき散らしている」と蔡総統を非難。1999年に当時の李登輝総統が唱えた中台は「特殊な国と国との関係」だとする二国論に触れた。中国国営メディアはこの考えを「白日夢」だと伝えている

Taiwanese President Tsai Ing-wen News Conference
台湾の蔡英文総統
 

  中国が軍事、外交両面で圧力をかける取り組みを強化する一方、バイデン米大統領が台湾を攻撃から守るとのコミットメントを確認する中で、今回の出来事は両岸関係の不安定さを浮き彫りにした。

  蔡総統は台湾独立の理念に基づいて結党された民主進歩党出身だが、中国の習近平国家主席を軍事行動に駆り立てるような形で台湾の地位を定義づけることはおおむね控えている。

  中国共産党中央党校の機関紙、学習時報で編集者を務めた鄧聿文氏は先週の論評で、習主席は二国論の復活とも受け止められる蔡総統の発言に挑まず、異例の沈黙を守っていると指摘。習氏の外交チームはこの件に関して米国に態度を表明するよう求めているかもしれないと推測しながらも、習主席がこの問題に目をつぶっていると公に見られた場合、内部からの圧力に見舞われる可能性があるとの見解を示した。

蔡英文総統は「双十節」で演説、米中関係に新たな火種も
Photographer: I-Hwa Cheng/Bloomberg

  鄧氏は99年を振り返り、江沢民国家主席(当時)は李氏の二国論に対し、当時のクリントン米大統領に反対を表明するよう説得するなど、うまく対応したと分析。中国の外交官は、舞台裏で蔡総統による今回の演説を非難するよう米政府に働き掛けているのではないかとの見方を示す。

  鄧氏は米中がコンセンサスに至らなければ、「バイデン政権が二国論を黙認したという意味になる」と指摘した。

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原題:
Two Words From Taiwan Leader Threaten to Upend U.S.-China Ties(抜粋)

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