日本電産、永守会長が求めた利益目標未達-精密小型モーター不振
古川有希-
通期の営業利益予想は1900億円に上方修正も市場予想をやや下回る
-
創業者の永守氏は上期目標未達なら重大な事態、と幹部らに警告
日本電産が26日公表した上期(4-9月期)の営業利益は前年同期比30%増の902億円だった。創業者である永守重信会長が9月に幹部らに最低限必要としていた950億円を下回った。
今年6月に最高経営責任者(CEO)の座を退いた永守氏は、9月、同社幹部らに業績改善の遅さや対応の甘さに言及し、目標として上期の営業利益は最低950億円(前年同期比37%)を達成することを求めた。

永守氏はその際、計画が未達に終われば重大な事態となり新体制への期待は崩壊すると警告し、そのような事態は阻止する必要があるとしていた。
日本電産創業者永守氏が業績改善遅れに焦り、幹部に警告-関係者
上期は家電や商業、産業用事業の収益性が改善し、前年同期比で163億円の大幅な増益要因となったが、精密小型モーター事業が156億円の減益要因となり、足を引っ張った。
永守氏は会見で、同事業はベトナムに生産拠点を多く持ち、新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウンの影響で操業率が「8ー9月はほとんど止まってしまうような状況になった」と説明。10月に入ってからは70ー80%まで回復していると述べた。
1973年の創業以来、日本電産を率いてきた永守氏は今年6月に日産自動車出身の関潤氏に最高経営責任者(CEO)を譲って会長となっていた。
永守氏は今年7月の決算会見では、関氏の説明を安心して聞けたため「次回からは欠席する」と話していたが、今回の決算会見に参加した。
ただ、永守氏は「あくまで日本電産の社長CEOは関である」と強調。会社を完全に掌握するには3-5年はかかるため、「最初のころは苦手なところはサポートし、関を立派な経営者に育てていく」と述べた。
日本電産は今期(2022年3月期)の連結営業利益を従来予想比5.6%増の1900億円に上方修正したが、ブルームバーグが集計したアナリスト20人の予想平均1924億円にわずかに届かなかった。
今期の業績予想 |
---|
|
発表によると、上方修正の理由は「家電・商業・産業用」製品グループや「車載」製品グループで増収増益を達成し、売上高、営業利益とも前回の公表値を上回る進捗(しんちょく)になったため。営業益予想は前期実績比では19%の増益となる。
車載事業の営業利益は前年同期比26%減の34億円、家電・商業・産業用事業は60%増の209億円、精密小型モーター事業は43%減の108億円だった。
7-9月期の業績 |
---|
|
日本電産はまた、環境規制の強化を背景に自動車の電動化が加速する中、電気自動車(EV)用駆動モーターシステムの生産体制を強化している。7月には台湾の鴻海精密工業とEV用モーターの合弁会社設立を検討すると発表した。
関連記事 |
---|