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ウォール街、相次ぎ原油相場予想引き上げ-長期の高止まり見込む

  • 企業に支出抑制圧力、構造的な投資不足招く-気候変動問題も影響
  • ゴールドマン、23年の水準85ドルと予想-モルガンSも予測引き上げ

安価な原油供給の時代は永遠に過ぎ去ったのだろうか。ウォール街の大手商品デスクの一部はそう結論付けており、長期の原油相場見通しを1バレル当たり10ドル(約1100円)かそれ以上引き上げたところも多い。

  米国のシェールブームは「原油安長期化」の観測をもたらしたが、市場では現在、気候変動問題に焦点が当てられ、化石燃料への投資意欲は低下している。企業は供給拡大ではなく、支出抑制の圧力にさらされており、新たな生産への構造的な投資不足で原油高がより長期にわたって続くというわけだ。

  ゴールドマン・サックス・グループの商品調査責任者ジェフ・カリー氏は、新たな供給につながる「均衡価格がどこか判明するまでロングを維持した方が良いというのが、顧客への私のアドバイスだ」と述べた。

Higher Crude

Forward oil prices have moved higher this year

Source: ICE Futures Europe

  世界の石油・ガス掘削リグ数は原油価格が昨年マイナスに転じた時期から回復したかもしれないが、2020年初めの水準をなお30%余り下回っている。ベーカー・ヒューズによると、原油価格が7年ぶり高値近くにあるにもかかわらず、現在のリグ数は16年並みの低水準だという。

  原油高の長期化を見込む銀行のうち、ゴールドマンは23年の水準を85ドルと予想。モルガン・スタンレーは先週、長期見通しを10ドル引き上げて70ドルとし、BNPパリバは約80ドルの水準を想定している。RBCキャピタルを含む他の銀行は、原油相場が構造的な強気局面の入り口にある可能性があるとみている。

Oil prices, and expectations for them, underpin equity valuations
 
 

  相場高止まりの可能性があるとの考えを誰もが支持しているわけではない。シティグループは今月のリポートで、30ドル未満および60ドルを超える水準は長期的には持続不可能と考えられると指摘。「中期的なコスト指標が示す適正価格のレンジは依然として1バレル=40-55ドルだ」との分析を示した。

  しかし、特にここ数年「スイング・プロデューサー」(需給調整役)となっている米国での変化を踏まえ、潮流は変わりつつあるとの見方もある。

  米国の上場シェール企業は引き続き生産拡大を抑制している。EOGリソーシズは2月、生産拡大計画の発表後に株価が急落。その後、同じ轍(てつ)を踏む例はほとんど見られていない。

  それに加え、油田からの生産減少の影響もより顕著になりつつある。米エネルギー情報局(EIA)の報告によると、米国の陸上油田で11月に前年同期比で有意な生産増が予想されているのはパーミアン盆地だけで、他は横ばいか減産となる見通しだ。

Nigerian and Angolan output have been in steady decline
 
 

  化石燃料への投資が減少する一方で、需要が近くピークに達するようには見受けられない。

  国際エネルギー機関(IEA)は今月、現在の需要の伸びが続けば、化石燃料への支出は必要な水準を下回ると予想。現行の政策の下では、原油需要が減少し始めるのはようやく30年代になってからだとの見通しを示した。

原題:
Wall Street Hails a New Era of Oil Prices: Higher for Longer(抜粋)

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