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Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg
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EV化に揺れる日本の自動車産業源流の地-静岡の中小部品存続懸念も

  • EVに完全移行なら多くの部品不要に、新規事業模索も資金面で課題
  • 静岡西部にはスズキやヤマハ発の本社-トヨタ、ホンダのルーツにも

世界的な電気自動車(EV)化の流れの中で、日本経済のけん引役である自動車産業を支えてきたサプライチェーンに動揺が広がっている。トヨタ自動車ホンダスズキなど日本の大手メーカーのルーツで、今でもエンジン産業の集積地である静岡県西部では業態変換を含めた抜本的な対策を始める部品メーカーも出ている。

  1951年創業で静岡県菊川市に本社があるフジオーゼックスもその1社だ。主にエンジン内の燃料と空気の混合気や燃焼ガスなどの流れを制御するバルブを製造している。長年にわたり技術を磨き上げてきた同社の製品は軽量かつ高い耐熱性能を誇り、多くの自動車メーカーに採用されてきたが、EVでは一切必要とされなくなる。

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フジオーゼックス・辻本社長
Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

  「新規事業を打ち上げていかないといけない」と辻本敏社長は話す。船舶用エンジンなど既存の技術が応用できる領域のほか、医療機器などまったく新しい分野への参入も視野に入れているという。辻本氏は「生き残りをかけてやるしかない」とし、今後10年で成果を出す必要があると厳しい見方を示した。

  エンジンを動力源とする従来の自動車は約3万点もの部品で構成され、それを支える多くの自動車部品メーカーが巨大なピラミッド構造のサプライチェーン(部品供給網)を形成。高品質な車を生産することで部品産業も繁栄を続けてきた。

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バルブをチェックするフジオーゼックスの従業員
Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

  ハイブリッド車(HV)であればエンジン回りの部品や燃料ポンプ、マフラーなどの部品は引き続き使われるが、各国が近年、環境規制の強化を打ち出したことでHVを飛ばして一気にEVに移行する可能性が高まってきたことでサプライチェーン内で危機感が高まっている。

生き残りは難しい

  静岡県西部はかつて遠州と呼ばれ、織物業が盛んだった。トヨタグループの創始者である豊田佐吉氏は現在の湖西市出身で織機の自動化で成功した。浜松市が本社のスズキも織機が創業事業だ。二輪大手のホンダやヤマハ発動機の創業地でもある。静岡経済研究所の調べでは、2018年時点で静岡県の自動車部品出荷額のうち、内燃期間関連の部品が半分以上を占めた。

  米戦略コンサルティングファーム、アーサー・D・リトルの予測によると、自動車業界が完全にEV化した場合、日本では30万人の雇用が失われる。これは同業界が現在抱えているすべての雇用の約10%に相当する。自動車産業の集積地で楽器など他の産業もアジアなどからの価格競争で苦しむ遠州地方にとっては、さらに大きな打撃となると見込まれる。

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浜松市の有楽街
Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

  「自動車産業で残っていくのは正直きつい」。自動車部品関連の旋盤加工を手掛ける政エンジニア(浜松市)の鈴木正勝社長はこのように話す。

  今の仕事を始めて約25年になるという鈴木氏はEVを遊園地などにある子供向けのパンダの乗り物にたとえ、電池とタイヤ、ハンドル、シートなどがあれば比較的簡単に作れるとの見方を示す。EV化が現実となった場合、事業が先細っていくのではないかと懸念しているという。

目の前の作業で精いっぱい

  アーサー・D・リトルのコンサルタント、祖父江健介氏は巨大自動車メーカーの下で足元の部品供給を続けながら、財務力の弱さなどから新規事業に打って出ることができない中小部品メーカーの現状を「ゆでガエル」と説明する。中国などがEV化で経済的な恩恵を受けることが見込まれる一方、日本国内の雇用は徐々にだが確実に失われようとしている、と述べた。

  二輪や四輪のエンジン部品を手掛ける浜松ガスケット(浜松市)の酒井弥一社長は、既存のエンジン車の受注がすぐゼロになるということはないとの見方を示す。

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浜松ガスケットの工場
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  同社の製品のうち、約20%はEV化が実現すれば不要になるとみられる。しかし、会社の収益を考えれば少なくとも短期的には足元のエンジン部品の注文についていく方がいいとの考えだという。 

  「われわれのような小さな企業はそんなに体力もないので今の仕事を一生懸命頑張るしかない」。

 原題:Electric Car Revolution Crushes Japan’s Struggling Small Towns (抜粋)

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