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中国経済の改革ペース、習主席が緩める-景気減速で一般市民に痛み

  • 習氏にとり権威振るうのは重要でも経済悪化なら権力自体損ねる恐れ
  • 国民への苦痛、党の正当性に深刻なリスク-ユーラシアGトーマス氏

中国共産党の習近平総書記(国家主席)は、自らの無期限統治を実現できるかどうかを左右する政治的に重要な会議を控え、国内主要産業の見直しという大きな賭けに出たが、ここにきてブレーキをかけつつある。

  自国経済の債務や独占、化石燃料依存の低減を目指してきた中国当局はこの数週間で、政策の緩和に動いている。政府による指示・命令は中国の企業エリートを懲らしめることにはなったが、電力値上がりや貯蓄減で一般市民にも打撃となっている兆しが顕在化し始めている。景気減速が続けば雇用減を招く可能性もある。

中国経済、7~9月に減速-不動産低迷やエネルギー危機が打撃

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習近平国家主席
 

  電力危機で工場の稼働が停止し、家庭も暖房なしで冬場を過ごすことを余儀なくされる恐れがある中で、李克強首相は先週、中国のエネルギー転換ペースは再考の必要があると指摘した。

中国、温暖化対策の工程再考も-エネルギー危機悪化で

  中国人民銀行(中央銀行)も15日までに中国恒大集団の債務危機に関してようやく沈黙を破り、リスクは「コントロール可能」であり、金融機関は不動産セクターへの貸し出しを「安定的かつ秩序ある」形で維持すべきだとの見解を示した。

中国恒大集団巡り人民銀が沈黙破る、金融システムへのリスク制御可能

  オックスフォード大学中国センターのリサーチアソシエイト、ジョージ・マグナス氏は「中国は現在、構造的な経済面の逆風の強まりに相次いで直面している」と指摘。「非常にはっきりと定められた政治課題の文脈では、安定と秩序が何よりも優先されるだろう。共産党は恒大あるいはインフレなどへの対応を誤るわけにはいかない」と話す。

  人口14億人のうち、約40%の稼ぎが月平均でわずか1000元(約1万7800円)にとどまっており、習総書記は中国経済の改革に乗り出しているが、一般市民への過度な痛みを招かずにバランスを取りながら進める難しさを今回の政策調整は示している。習氏が掲げる「共同富裕」は、格差是正に向けた一連の政策の裏付けになっている。このまま格差拡大を許せば、共産党の正当性、そして習氏自身の政治生命への長期的な脅威となる。

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広東省仏山の火力発電所を視察する李克強首相(10月14日)
 

  来月開かれる第19期中央委員会第6回総会(6中総会)や、前例を破って総書記3期目を狙う来年の党大会を控え、習氏にとって自らの権威を振るうのは重要だが、社会不安につながる経済の悪化を招けば、その権力掌握自体を損ねる恐れもある。主要分野の変革ペースを緩めれば、中国経済をつくり直すという壮大な計画は変更せずに、目先のプレッシャーを和らげることができる。

中国共産党、「6中総会」を11月8-11日に開催-新華社

  ユーラシア・グループの中国・北東アジア担当アナリスト、ニール・トーマス氏は「多くの一般国民に苦痛を直接引き起こす結果は、政治的安定や共産党の正当性への深刻なリスクとなり得るため、習主席にとっては容認しにくい」と分析。「習氏が何よりも守ろうと決意している重要なステークホルダー(利害関係者)とは共産党そのものだ」と述べた。

原題:Xi Dials Back China’s Economic Overhaul as Masses Feel Pain (1)(抜粋)

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