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中国・宝山鋼鉄が異議表明、トヨタは驚きも-特許侵害との日鉄主張に

  • 国内最大手の鉄鋼メーカーが大口顧客を訴える異例事態に衝撃広がる
  • トヨタは鋼材価格交渉との関連否定も、両社の関係に亀裂との見方も

中国の大手鉄鋼メーカー、宝山鋼鉄は特許権侵害を理由に同社を相手取って損害賠償請求訴訟を起こした日本製鉄に対し異議を唱えた。問題となった鋼板を使っているとして同じく提訴の対象となったトヨタ自動車も適切な手続きを踏んでいたと反論する一方、長期にわたり取引関係のあるサプライヤーからの訴訟に驚きも示した。

Toyota Factories and Headquarters as Chip Shortage Forces Production Cut
名古屋港で船積みを待つトヨタ車。部品不足の影響でトヨタは足元で大幅な減産を迫られている
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  日鉄の発表を受け、宝山鋼鉄は常に法令を順守してきたとし、自社の権利を積極的に守っていくとコメント。宝山鋼鉄によると、日鉄とのさらなる意思疎通を要請したが拒否されたという。

  トヨタは、この問題は「材料メーカー同士で協議すべき事案であると認識」しているとして、訴訟を提起されたことは「大変遺憾」とのコメントを公表した。

  トヨタの長田准執行役員は14日夜、記者団らに対し、トヨタは契約前に特許侵害がないことを宝山鋼鉄に確認するなど適切な手続きを踏んだと説明し、「こういった形の提訴に弊社も入れられたことは本当に正直びっくりして驚いている」と語った。

  トヨタの熊倉和生調達本部長によると、トヨタが宝山鋼鉄の同鋼板を使い始めたのは最近のことで中国から輸入して国内でのみ使用している。

  日鉄はトヨタに対し、同鋼板を使用したモーターを搭載した電動車の製造・販売の禁止を求める仮処分の申し立ても行ったが、トヨタとしては宝山鋼鉄が供給する同鋼板を使った車の生産・販売を継続する考えだという。

  仮に宝山鋼鉄からの同鋼板が使用できなくなったとしても日鉄の鋼板で代替することは「技術的には可能」だと熊倉氏は語った。

日鉄、トヨタと中国・宝山に400億円賠償請求-電磁鋼板特許侵害 (1)

  ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは、自動車業界を長年担当してきた同氏でも「こんな話は聞いたことがない」と驚きを隠さない。トヨタと日鉄は鋼材の価格交渉でもめるなど日本を代表する両社の関係が「ぎくしゃくしているのではないか」との見方を吉田氏は示した。

  トヨタの熊倉氏は、鋼材の「価格交渉については決着をして、ある程度値を上げてお互いに納得したところで決まった」と説明。今回の訴訟は「知的財産の問題だと認識している」と述べ、鋼材の価格交渉との関連を否定した。

  電磁鋼板を巡っては、日鉄の前身である新日本製鉄が韓国の鉄鋼メーカーのポスコなどを相手取り同鋼板の製造技術を不正に取得、使用したとして2012年に提訴。両社は15年に和解し、ポスコは300億円の和解金を支払い、新日鉄は全訴訟を取り下げた。

  SMBC日興証券アナリストの山口敦氏らは14日付のリポートで、日鉄が「収益性の引き上げを追求している点は高く評価しているものの、最大の顧客であるトヨタとの関係を著しく損ねては欲しくない」と述べた。

  その上で、日鉄はトヨタに対して今後も製品供給などを続けると思われるが、「小幅なシェアの低下や不況期の値下げ要求などが懸念」されるとした

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