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Photographer: Dhiraj Singh/Bloomberg
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CO2排出の化石燃料が「リベンジ」、世界の気候変動対応に暗い影

  • コロナ禍からの回復で化石燃料の需要復活、22年半ばに記録更新も
  • 今月末からCOP26、政治的綱渡り一段と困難か-バジリアン教授

英イングランドの産業の中心地で200メートルの煙突がそびえ立つウェスト・バートンA発電所は、化石燃料時代の遺物だ。ボイラーを点火すると、毎日大量の石炭を燃焼し、地球温暖化につながる二酸化炭素(CO2)を排出する。

  50年以上稼働してきた同発電所は、来年閉鎖される。これは風力や太陽光などグリーンエネルギー源への世界的な移行の一環だ。今ではほとんど利用されなくなったものの、9月の数日間に英国の電力供給継続を助けたのは、この大気を汚染する古い発電所だった。

  ウェスト・バートンA発電所は例外ではない。新型コロナウイルス禍からの景気回復の加速で需要が押し上げられる中、世界中で化石燃料がめざましい復活を遂げている。グリーンエネルギーへの移行はまだ始まったばかりで、世界は依然として化石燃料に大きく依存している。それは2世紀半にわたって蓄積してきた根深い中毒だ。

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ウェスト・バートンA発電所
出典:EDF

  化石燃料の需要は既に新型コロナのパンデミック(世界的大流行)前の水準に近づいており、これはCO2排出量も増加していることを意味する。現在の傾向が続けば、石炭と天然ガス、原油の合計消費量は2022年半ばまでに過去最高を記録する可能性がある。

  パリ政治学院でエネルギーを専門とするティエリー・ブロス教授は「これは化石燃料のリベンジだ」と指摘した。

  こうした状況は、英スコットランドのグラスゴーで今月末に開幕する国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に暗い影を落とす。COP26は壊滅的な気候変動を回避する最後の機会だと多くの人が考えている。

  米エネルギー外交当局者のアモス・ホッホスタイン氏は「気候危機は現実のものであり、エネルギーの転換は必要でそれを加速しなければならないが、スイッチを切り替えるようにはいかない」と指摘。「気候変動問題を解決したい場合、それと同時に世界経済を極端なエネルギーショックから守る必要がある」と述べた。

Heating Up

Emissions are rebounding and will rise in 2021 to near a record high

Source: IEA

  政治家がCOP26の準備を進める中で実際、急上昇したエネルギー価格はグリーンエネルギーへの転換についての見方を二極化させた。グリーンエネルギーへの転換はただでさえ、世界経済全体の書き換えを伴うほどの難題だが、反対運動展開につなげようと化石燃料業界のロビイストや気候変動否定派は現在の機会を捉えている。一方で温暖化対策を訴える一部活動家は、エネルギー転換のスピードアップの必要性が示されたと主張する。

  コロラド鉱山大学のモーガン・バジリアン教授(公共政策)は「最終的に、緊張関係抜きの転換というわけにはいかないだろう。政治的な綱渡りはどんどん難しくなっている」と述べた。

原題:
In a World Fighting Climate Change, Fossil Fuels Take Revenge(抜粋)

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