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矢野財務次官、「バラマキ的な政策論議」を批判-文芸春秋に寄稿

更新日時
  • 「国庫には無尽蔵にお金があるかのような話ばかり」
  • 財務次官が在任中に政策論に言及するのは異例

財務省の矢野康治事務次官が月刊誌「文芸春秋」11月号に寄稿し、最近の政策論について「国庫には、無尽蔵にお金があるかのような話ばかりが聞こえてくる」と批判した。財務次官が在任中に政策論に言及するのは異例。

  矢野氏は、コロナ禍で「一時的に財政収支の悪化が生じることはやむを得ない」とした上で「単年度収支の赤字を放置するとか、赤字の拡大を容認してしまうようでは、国家として財政のさらなる悪化に目をつぶることになる」と指摘。世界の誤解を招くメッセージとなり、「日本国債の格付けに影響」が生じかねないとしている。

  鈴木俊一財務相は8日の閣議後会見で、寄稿の内容は政府の方針に反するようなものではなく、麻生太郎前財務相にも了解を得ていると説明。個人的な思いをつづったものであり、「問題だという思いは持っていない」と話した。ただ鈴木氏自身はまだ読んでいないという。

  SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストはリポートで、「時の政権がこれから数十兆円規模の経済対策を打ち出そうというタイミングで、財務省最高幹部がここまで踏み込んで公に意見表明をするのも珍しい」と指摘。麻生副総裁ら自民党幹部の対応が注目されるとの見方を示した。

寄稿の内容

  • 最近のバラマキ合戦のような政策論を聞いていて、やむにやまれぬ大和魂か、もうじっと黙っているわけにはいかない、ここで言うべきことを言わねば卑怯でさえある
  • 数十兆円もの大規模な経済対策がうたわれ、一方では、財政収支黒字化の凍結が訴えられ、さらには消費税率の引き下げまでが提案されている
  • 今の日本の状況を例えれば、タイタニック号が氷山に向かって突進しているようなもの。氷山(債務)はすでに巨大なのに、この山をさらに大きくしながら航海を続けている。
  • 日本は債務の山の存在にはずいぶん前から気づいている。ただ、霧に包まれているせいで、いつ目の前に現れるかが分からない。そのため衝突を回避しようとする緊張感が緩んでいる
  • 昨今のバラマキ的な政策論議は、実現可能性、有効性、弊害といった観点から、かなり深刻な問題をはらんだものが多くなっている。財務省はこれまで声を張り上げて理解を得る努力を十分にして来たとは言えない。そのことが一連のバラマキ合戦を助長している面もある
  • ワニの口はふさがなければならない
  • 10万円の定額給付金も死蔵されるだけ
  • 国内総生産(GDP)を増やしても赤字は減らない
  • 消費税引き下げは問題だらけで甚だ疑問
(財務相の会見内容を追加します)
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