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ウォール街の3巨人、次の大きなリスクを警告-ウッド氏はデフレ予測

  • イノベーション投資不足の企業は淘汰される-ウッド氏
  • エラリアン氏は格差、マイナード氏はサイバーセキュリティーを指摘
Mohamed El-Erian, Cathie Wood and Scott Minerd
Mohamed El-Erian, Cathie Wood and Scott Minerd Source: Bloomberg

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投資家と世界経済を覆うリスクは無数にあり、膨らみ続けている。ブルームバーグ・ニュースは、先見の明があることで知られる金融業界の巨人3人に今後5年から10年に何が最も懸念されるかを聞いた。

デフレの波

キャシー・ウッド(アーク・インベストメント・マネジメント創業者)

キャシー・ウッド:次の大きなリスクはデフレです

  現時点で広がっているのは、サプライチェーンの混乱でインフレ局面に拍車がかかっているという仮説だ。だが、1970年代のインフレを目の当たりにした自分は、当時のような状況に戻るとは全く考えられないし、そうなると想定している人は恐らく見誤ることになるだろう。

  われわれが目にしているのは、大きなデフレ圧力の高まりだ。

  イノベーションの面でわれわれはかつてなかった時期にある。人工知能(AI)でトレーニング費用は年68%ずつ低下している。これはAIを活用した製品が多数生まれ、より品質が良く安価で創造力に富む製品がより速く出てくることを意味する。必要な費用と時間が大幅に短縮されたDNAシーケンスはヘルスケアを一変し、医療費用のどの部分が無駄かを気づかせてくれるだろう。

  このイノベーションの問題は、従来の世界秩序にとって極めて大きな破壊力を持つだろうということだ。イノベーションに十分な投資をしてこなかった企業は、今後5年-10年でますます厳しくなるだろう。S&P500種株価指数が始まった頃は企業の平均寿命は100年だったが、今や20年をやや上回る程度にまで短くなったと考えている。今後さらに短くなるだろう。

 

不平等の世界

モハメド・エラリアン(アリアンツ主任経済顧問、英ケンブリッジ大クイーンズカレッジ学長)

モハメド・エラリアン:不平等が次の大きなリスクを生む

  最も大きな懸念事項は、国内、国家間の両方で見られる格差だ。金融市場は社会問題と見なし、実際には経済や金融の問題として捉えていないが、われわれは格差拡大が勢いを増すリスクを冒している。新型コロナウイルスはこれを大きく後押ししたが、現在は元に戻るどころか、不平等が悪化する動きが生まれている。

  格差が極めて広がった社会は経済的に健全な社会ではない。自分が不安に思うのは、機会の不均衡にとどまらない。自宅にWiFi接続やコンピューターがない人々がコロナ禍でどうなったかは見ての通りだ。学校との接触を失った多くの生徒たちは職を得られなくなるばかりか、雇用に適さなくなるのだ。つまり、失われた世代になる。

  こうした社会がどのようなものか、すでに垣間見えている。経済的な側面では、総需要の不足が見られる。富裕層の所得や資産は増しているが、支出の比率は比較的少ない。所得や資産に対する支出の比率は貧困層の方が高い傾向にある。従って、増加する所得や富のすべてが富裕層に向かえば、需要の問題が生じ、それは成長の問題を伴うようになる。

  現在はすでに長期停滞の期間にある。十分に包摂的でない低成長の期間で、自分や同僚は新常態(ニューノーマル)と呼んでいる。

 

野放しのハッカー

スコット・マイナード(グッゲンハイムインベストメンツ会長)

スコット・マイナード:保護されていない金融ネットワークが次の大きなリスク
 

  一番のリスクは、世界的な決済システムの持続可能性だ。これまでにハッカーやテロリストの攻撃は極めて多くあり、米コロニアル・パイプラインの事件もあった。金融市場の決済システムへの攻撃には、米国だけでなく欧州もぜい弱な様子だ。

  攻撃を受ける可能性は極めて高く、50%を優に上回るとみる。このリスクを評価し、短期的には既存のシステムをいかに強化できるか、長期的には近代化する方法を見いだすため、国際的な協力が必要だ。

 

原題:
Wall Street Titans Warn of the Next Big Risks for Investors(抜粋)

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