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米国債利回り上昇の道開かれる、金融当局のタカ派傾斜でレンジ上抜け

  • 米10年債利回りは1.45%に上昇、7月半ば以降のレンジ上限突破
  • 世界の中銀からの流動性の波は衰えつつある-タヌッツオ氏

米連邦準備制度が新型コロナウイルス禍の緊急対策の終了にじわりと近づく中、米国債利回りが上昇に向かう道はようやく整いつつあるようだ。

  米10年国債利回りは何か月も膠着(こうちゃく)状態が続いた後、7月半ば以降のレンジを上抜けして1.40%を超え、先週は1.45%で終了した。2021年の最低は8月に付けた1.13%。

  弱気派は勢いづいており、米国債価格下落を見込んだショートポジションを新たに取って、利回りを一段と押し上げている。ただ、こうしたトレードで勝利を収め続けるのは容易ではない。新型コロナウイルス感染再拡大で経済成長見通しが陰ったことから1-3月(第1四半期)の利回り大幅上昇は、徐々に勢いが衰えた。

  しかし当面は、 連邦準備制度とイングランド銀行(英中央銀行) のタカ派傾斜で利回りのさらなる上昇の道は開かれている。

  ドイツ銀行のプライベートウェルスマネジメント部門債券責任者ゲーリー・ポラック氏は、「名目利回りはまだ低過ぎる水準にあり、上昇するだろう」と予想。「ただ金利市場では、上向きのインフレ率が利回り上昇を支えるファンダメンタルズ要因と、米金融当局や外国勢力などの購入需要というテクニカル要因が戦う状況が続いている。それでもいずれ、ファンダメンタルズが勝利し利回りは徐々に上昇すると思う」と語った。

Treasury yields gain momentum to the upside
 
 

  パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、米経済がコロナ禍を乗り越えるのに寄与した資産購入プログラムについて、11月にテーパリング(段階的縮小)に着手する可能性を示した。こうした大口債券購入者が市場から退出すれば、利回りの上放れにつながる可能性がある。

  連邦公開市場委員会(FOMC)の最新の金利予測分布図(ドット・プロット)では、半数の参加者が2022年末までの利上げを予想したことが示され、大方のストラテジストが予想していたよりも当局のタカ派姿勢が鮮明になった。

  パウエル議長はテーパリングと利上げの決定を別ものと位置付けようとしているが、無駄な努力となりつつあるようだ。ドット・プロットの更新とテーパリングの暫定的スケジュールを受け、デリバティブトレーダーは利上げ開始時期の目標を従来の23年の早い時期から22年12月に前倒しした。

  イングランド銀行も利回り上昇に拍車を掛けた。11月にも利上げに踏み切るとの観測が先週の中銀声明の発表後に浮上し、英国債とドイツ国債の利回りを押し上げた。ノルウェーはG10諸国の先陣を切って利上げを実施した。

  コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツのジーン・タヌッツォ氏は「世界の中銀からの流動性の波は衰えつつある」と指摘。「中銀は経済的な追い風から少なくとも中立へ、予見可能な将来には逆風にもなるかもしれない。米10年債利回りには下限があり、短期的な目標は1.5-1.6%程度に動いた公算が大きい」と付け加えた。

  10年債利回りは3月には一時1.77%を付けていた。

原題:
Treasuries at Risk as Fed Paves the Way for a Breakout in Yields(抜粋)

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