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「永田町の弱者」から脱却、初の女性首相に挑む高市・野田氏-総裁選

  • 男女同数がバランス生むと野田氏、高市氏は女性診療科の増設主張
  • 複数の女性立候補は結党66年で初、過去の99代の首相はすべて男性
LDP Leadership Candidates Speak as Race Officially Kicks Off
Photographer: Yoshikazu Tsuno/Gamma-Rapho

自民党総裁選に高市早苗前総務相と野田聖子幹事長代行が立候補した。複数の女性が出馬するのは、結党66年を迎える自民党の歴史で初。政治分野の女性進出が遅れる日本にとって大きな変化だ。

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野田聖子幹事長代行
Photographer: Yoshikazu Tsuno/Gamma-Rapho/Bloomberg

  「私たち女性は永田町では弱者だ」。野田氏は18日の討論会で語った。高市氏とは「主義主張は違う」としつつ、男女が「数の上でも同じになることで政治のバランスは生まれてくると信じているので、ともにがんばって戦いましょう」とエールを送った。

  高市氏も「私たち女性は、かなり幼い時期から、小学生ぐらいから年を重ねるごとに大きなホルモンバランスの変化によって体調が変わってくる」と説明。体調の変化は「職場でも男性に理解してもらえず、つらい」と女性ならではの苦しさを訴え、女性総合診療科の増設を訴えた。

  20人の推薦人が必要な総裁選への女性の立候補の壁は高く、これまでは2008年の小池百合子氏(現東京都知事)だけだった。昨年の総裁選でも野田氏や稲田朋美元防衛相が出馬を模索したが実現しなかった。今回の総裁選は大半の派閥が投票先を縛らず、無派閥の2人にとって追い風となった。

「タリバンはいないのに」

  総裁選への13年ぶりの女性出馬について小池氏は10日の記者会見で、「日本にはタリバンがいないのに、なんでこんなに女性の活躍が遅れてきたのか不思議に思う」と語った。

  日本では、政治分野での男女差が際立っており、菅義偉内閣の女性閣僚も上川陽子法相と丸川珠代五輪相の2人だけだ。衆院議員に占める女性の割合は1割にとどまる。男女格差を測る「ジェンダー・ギャップ指数」(世界経済フォーラム、21年)で156カ国中120位という不名誉な結果を、政治の世界でも裏付けた形だ。

  海外の先進国では女性の首脳は一般的だ。英国のサッチャー首相が就任したのは1979年。ドイツのメルケル首相も2005年から指導者の地位にある。ニュージーランドのアーダン首相に加え、アジアでも台湾の蔡英文総統が手腕を発揮している。

政策に違い

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高市早苗前総務相
Photographer: Yoshikazu Tsuno/Gamma-Rapho/Bloomberg

  同じ女性候補でも、訴える政策は大きく違う。女性に関する政策では、選択的夫婦別姓に高市氏は反対、野田氏は賛成だ。

  安倍晋三前首相の支援を受ける高市氏は、安全保障の強化や憲法改正といった保守層に訴える政策を前面に打ち出す。成長投資の対象として、痛みの少ない乳がん検診を可能にする「マイクロ波マンモグラフィ」普及支援を訴え、出馬会見では検査の痛みを実感を持って語った。

  野田氏は「多様性」を示すことを掲げ、女性や子ども、障害者の視点を取り入れた政治の実現を目指す。50歳で卵子提供を受けて出産し、障害のある長男を育てる自身の体験が背景にある。 

  国際政治学者の三浦瑠麗氏は、2人の勝利は「今回は無理だろう」とした上で、「女性の方が勝てるのではないかということが選択肢に上ってきた」と指摘した。今後は性別を意識した選考となり、「女性支持と保守支持を両方引き付けられる」候補が最初の女性総裁に選ばれやすいと分析した。

  29日の投開票に向け、高市氏と野田氏は国会議員と党員・党友票の上積みを目指すことになる。2人のうちどちらかが勝利すれば、1885年(明治18年)に伊藤博文が就任して以降、136年・99代にわたって男性が務めてきた日本の首相に、第100代で初めて女性が就任する。

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