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ECBカザークス氏、ユーロ圏インフレは想定よりも高くなる可能性

  • インフレ見通しは今後の経済予測において上方修正される余地がある
  • インフレ、中期でECB目標の2%かそれ以上になるとまだ見込まず

新型コロナウイルスがこれ以上の衝撃を引き起こさなければ、ユーロ圏のインフレ見通しは現在の想定よりも高くなる可能性があるとの見方を、欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのカザークス・ラトビア中銀総裁が示した。

  同総裁は16日のインタビューで、域内景気回復の安定と供給目詰まりの長期化、インフレ期待の高まりは全て、予想よりも速い物価上昇の可能性を示唆すると指摘した。ECBは先週、2023年末までのインフレ率予想を上方修正した。

  カザークス氏は「新型コロナが負の驚きをもたらさない限り、中期的なインフレ見通しが上振れする幾らかの余地がある」と述べた。「小数点以下の話だ」と付け加え、インフレ率が中期的にECBの目標である2%かそれ以上になるとはまだ見込んでいないとくぎを刺した。

 

Watching Price Pressures

The ECB predicts inflation will average 1.5% in 2023

Source: Eurostat, ECB

  ユーロ圏のインフレ率は現在3%と10年ぶり高水準だが、当局は主として一時的な要因によるものだとみている。ECBは今年の平均インフレ率が2.2%となり、23年は1.5%に低下すると予想している。

  カザークス氏は「これらの数字には今後の経済予測において上方修正される余地が恐らく幾らかあるだろう。現在の見通しには同意しているが、インフレについてのリスクバランスはやや上向きだと思う」と語った。

  「将来的に若干の賃金圧力が生じる可能性を示唆する事例を幾つか聞いているが、データではまだ確認されていない。インフレ圧力が恒常的に大きく高まると予想する理由はない。もし、ある時点でインフレがECBの戦略と使命よりも大幅に高くなれば、もちろん、どう対応すべきかは分かっている」と述べた。

  ECBは9月に1兆8500億ユーロ(約240兆円)規模のパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の購入ペース縮小を決めたが、ラガルド総裁はテーパリング(段階的縮小)ではないとしている。カザークス氏によれば、ECB当局者らはテーパリング議論の開始を急ぐ考えはない。PEPPは現在、少なくとも22年3月まで継続されることになっている。

Latvia Central Bank Martins Kazaks
ECB政策委員会メンバーのカザークス・ラトビア中銀総裁
 

  当局は「合理的に実行可能である範囲で、できるだけ早く」PEPPの将来について金融市場に伝えようとするだろうが、「不確実性は依然として高く、柔軟性を維持することが理にかなう」とカザークス氏は説明した。

  「現時点では金融と財政による景気支援はまだ必要だが、経済が改善するに伴い支援を引き揚げる必要がある。次の危機が起きた時に再び介入する余力を残すためだ」と語った。

  PEPPに付与した大きな柔軟性を従来の資産購入ツールに将来的に適用するかどうか、そしてどのように適用するかについてはまだ議論していないとも述べた。

  債券購入を終了した後、どの程度の期間で利上げを開始するかに関するガイダンスを見直すことが最終的に重要になるとの考えも示した。現在のガイダンスは、資産購入は金利が上昇し始める「直前」に終了するとしている。

  カザークス氏は「過去にはこの相関性がフォワードガイダンスの強化に使われていた」が、「現在ははるかに強力で明確な戦略と、より説得力のあるフォワードガイダンスがある。従って、この相関性はもはやそれほど重要ではない」とした上で、「これについて議論して市場がECBを誤解するリスクの回避を図らなければならない」と述べた。

 

原題:ECB’s Kazaks Sees Prospect of Faster Inflation Than Forecast (1)(抜粋)

 

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