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豪州の原潜建造支援へ、米英と新たな安保枠組み-フランスは反発

更新日時
  • 1年半かけて詳細詰めた後に豪アデレードで建造へ-モリソン豪首相
  • 中国に非常に明確なシグナル送る決定とローウィー研究所ルマユー氏
Australia v South Africa: Game 4
Photographer: Michael Dodge/Getty Images AsiaPac

オーストラリアは、米英両国とインド太平洋地域における新たな安全保障の枠組みで合意し、原子力潜水艦の保有に向けて前進した。バイデン米政権は中国に対抗するため同盟国との結束を強めているが、今回の合意はフランスとの関係悪化を招いた。

  モリソン豪首相とバイデン大統領、ジョンソン英首相は15日、オンライン形式で開かれた会合で、3カ国の安全保障パートナーシップ「AUKUS」を発表した。オーストラリアはフランスのナバル・グループと2016年に潜水艦最大12隻の建造契約を結んでいたが、仏当局は今回の米英豪合意でこのプロジェクトは停止されたと表明した。

米英豪の安全保障パートナーシップについて語るバイデン米大統領
(Source: Bloomberg)

  モリソン首相は、豪州への原子力潜水艦配備が同パートナーシップの最初のイニシアチブになると説明。最長1年半をかけて詳細を詰めた上で、米英との緊密な協力の下で豪アデレードで建造する方針を示した。

  同首相は記者会見で、フランスの失望は理解できると述べた上で、「首相として豪州の安全保障上の利益にかなう決定を下さなければならない。フランスもそうするだろう」と語った。

  フランスのルドリアン欧州・外務相とパルリ国防相は声明で、プログラム撤回の決定は「仏豪協力の精神と文言のいずれとも相いれない」とした上で、「一貫性に欠ける」と批判した。

  新しい枠組みについて、米政府高官は中国や他国を標的にしたものではないと説明したが、中国がアジア太平洋地域で軍備や影響力を拡大していることが背景にある。合意の一環として3カ国はサイバーセキュリティーや人工知能(AI) といった他の国防措置でも協力を深める方針だ。

  バイデン大統領は豪州に配備される原子力潜水艦について、通常兵器を装備するものになると述べた。モリソン首相は核兵器の保有を目指していないと強調した。

  豪ローウィー国際政策研究所の研究ディレクター、エルベ・ルマユー氏は、原子力潜水艦の保有国は6カ国にすぎないためモリソン首相が交わした合意は重要だと指摘。「非常に明確なシグナルを送るものだ」とブルームバーグテレビジョンとのインタビューで述べた。「中国の存在なしでは、米国がこうした技術をオーストラリアと共有することは決してなかっただろう」と説明した。

  中国外務省の趙立堅報道官は北京で16日開いた記者会見で、AUKUSが「地域の平和と安定を大きく損ね、軍拡競争を悪化させ、国際的な核不拡散の取り組みを傷つける」と主張。核兵器保有を目指さないという豪州の約束に疑問を呈し、米国と英国は「地政学ゲームの手段として核輸出を用いており、ダブルスタンダードだ」と語った。

  オーストラリア国立大学の教授(国際安全保障問題)で情報機関で働いた経歴もあるジョン・ブラックスランド氏は「豪州の地政学において、ここ数十年で最大の驚きだ」と指摘。「原潜配備に向けた合意は、米国が自国の補完としてこれまで決してなかったほどに豪州の能力強化を有用とみていることを示している」と述べた。

原題:Australia Irks France With Sudden U.S.-U.K. Nuclear Sub Deal (1)China Decries Arms Race as U.S. Allies Unite on Nuclear Subs (1)(抜粋)

(9段目以下を追加して更新します)
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