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コロナ禍の出口、あと半年見えずか-変異株とワクチンいたちごっこ

  • コロナウイルスが第1世代ワクチンに完全に耐性持つ方向との研究も
  • どの程度ならコロナとの共存容認できるか決断迫られる可能性も
A drive-through Covid-19 testing site in Covington, Kentucky, on Sept. 8.
A drive-through Covid-19 testing site in Covington, Kentucky, on Sept. 8. Photographer: Jeffrey Scott Dean/Bloomberg

新型コロナウイルスのトンネルの出口が3-6カ月以内に見えると期待している人には科学者から悪い知らせがある。既に経験してきたことがさらに続く状況に備えよというものだ。

  感染拡大で学校閉鎖や授業中止が相次ぐほか、ワクチン接種が完了している介護施設の入居者も再び感染の脅威にさらされる。医療体制が再び逼迫(ひっぱく)する中で、労働者はオフィス復帰に伴うリスクを熟考することになる。

People seen wearing facemasks in the London underground
ロンドンの地下鉄で通勤・通学する人々(8月25日) 
Photographer: Belinda Jiao/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

  ほぼ全員が感染するかワクチン接種を完了するまでパンデミック(世界的大流行)は終わらないとの見解で専門家は一致する。新型コロナに2回以上かかる不運な人も多少いるだろう。新たな変異株につながる感染の波と世界的なワクチン普及を目指す取り組みの競争は、感染ないしワクチン接種といった形で新型コロナが全ての人に及ぶまで終わらないだろう。

  バイデン大統領の医療分野の顧問の一人であるミネソタ大学感染症研究政策センターのマイケル・オスターホルム所長は「世界中でこうした継続的な感染拡大を目の当たりにしている」とした上で、「今後、流行がやや急速に収まる可能性もある」が、今年の「秋と冬に新たな感染拡大もかなり容易に起こり得るだろう」と語った。

San Francisco Leads Cities In Demanding Proof Of Vaccination
飲食店の外でワクチン接種状況のチェックを受ける客(サンフランシスコ、8月24日)
Photographer: David Paul Morris/Bloomberg 

  向こう数カ月は平たんではないだろう。ワクチンに耐性のある変異株が広がるかどうかが大きなリスクの一つだが、それだけではない。経済や市場、医薬品業界、旅行などへの長期的な影響も探ることになる。

  過去130年で詳しい資料が残っている5回のインフルエンザのパンデミックを見ると、新型コロナが今後どんな展開をたどる可能性があるか若干見えてくると、デンマークのロスキレ大学教授(人口保健科学)で疫学者のローン・シモンセン氏は語る。

  同氏によると、最も長く続いたインフルエンザの世界的流行は5年だったが、平均2、3年で感染の波が2-4回到来するケースが大半を占めた。新型コロナは2年目が終わる段階で世界的な第3波のさなかにあるが終息が見えておらず、既に最も深刻なパンデミックの部類に入る。

Funeral Services as Delta Variant is Fueling Malaysia's Worsening Covid Outbreak
新型コロナ感染で死亡した人をメモリアルパークに埋葬する人々(マレーシア・スランゴール州、8月30日)
Photographer: Samsul Said/Bloomberg

  ウイルスは宿主集団を完全に消滅させないように、時間の経過とともに自然に弱まると広く考えられていたが、これは間違いであることを歴史は示しているとシモンセン氏は説明。新たな変異株がその前身より深刻なものになるとは限らないが、「ウイルスは新しい宿主に適応していくため、パンデミック期に致死率が高まることは実際あり得る」という。

  新型コロナが第1世代のワクチンに完全に耐性を持つ方向にあると指摘する研究者もいる。正式発表や専門家の査読がまだ行われていない日本での研究によると、デルタ株がさらに変異することで危険が一層大きくなり、そうした変異は世界的なデータベースに既に取り込まれている。

  「これは現実のものになってほしくないシナリオだ」とシモンセン氏は指摘。そうなれば「われわれはやり直しを迫られるだろう」と語った。

Brace for More Covid Surges

The pandemic has already been through three waves — with no end in sight

Source: Johns Hopkins University

Note: Data as of September 9, 2021

  パンデミックが向こう半年では終わらないことは明白に見える。現在の感染拡大は大半の人々、恐らく世界人口の90-95%がワクチン接種あるいは過去の感染を通じて一定の免疫を獲得すれば、落ち着くというのが専門家のほぼ共通の見方だ。その鍵を握るのがワクチンだろうと専門家はみている。

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  感染症の流行がいかに終息するかについて研究するプロジェクトのコーディネーターを務めるオックスフォード大学のエリカ・チャーターズ准教授(医史学)は、今回のパンデミックも過去の例と同じように、異なる場所ごとに異なる時期に終息すると分析している。各国政府は今後、どの程度の流行なら新型コロナとの共存を容認できるか決断を迫られるだろうと指摘する。

  アプローチはさまざまだ。新規感染者ゼロをまだ目指している国もあるが、世界が新型コロナを完全に撲滅できる可能性は低い。

South African Mines Join Vaccination Effort
ワクチン接種を受ける炭鉱作業員の女性(南アフリカ共和国アマンデルバルト、8月12日)
Photographer: Waldo Swiegers/Bloomberg

  「終息までの過程は画一的なものとはならない」とチャーターズ氏は予想。パンデミックは「生物学的な現象だが、政治・社会的現象でもある」とした上で「現時点でもアプローチは異なっている」と語った。

  負の遺産を残す紆余(うよ)曲折の過程となる公算が大きく、それまでほとんどの人はさらに何カ月かパンデミックの下での生活に備える必要があろう。

  「油断せず、相当な謙虚さで対応しなければならない。向こう数日または数カ月でこれを克服できると考えている人は甚だしく誤っている」とオスターホルム所長は語った。

原題:
Pandemic’s Next Six Months Will Pit Vaccines Against Variants(抜粋)

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