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自工会の豊田会長、政府の環境目標は日本の実情踏まえずと批判

  • 再エネ目標の達成には2030年までに約25兆円の投資必要と試算
  • 豊田会長は政府のエネルギーや環境政策にこれまでもたびたび苦言

日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は9日、温室効果ガスの排出削減に向けて政府が打ち出した目標は日本の実情を踏まえていないとの見方を改めて示した。同氏はガソリン車の新車販売禁止の方針などについてこれまでも苦言を呈してきたが、批判のトーンを一段上げた形となった。

Toyota Management Attend The Tokyo Motor Show
豊田章男氏
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  豊田氏はオンライン記者会見で、10月31日からスコットランドのグラスゴーで開かれる国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP26)に向けて政府が「いろいろな目標を出しているが、ただ目標値を示すだけであり、それは日本の実情を踏まえて決められたものではなく、欧州の流れに沿ったやり方だ」と語った。

  さらに、「再生可能エネルギー比率の目標は示しているが、そこにコストの議論は見えてこない。全て実行するのは民間で、と言っているようにわれわれには聞こえてしまう」と述べた。豊田氏は日本の再生可能エネルギー由来の電力の導入目標を達成するには、送電線の老朽化更新も含めて2030年までに計約25兆円の追加投資が必要との試算を示した。

  豊田氏は、これまでも自工会会長の立場から政府のエネルギーや環境政策についてたびたび苦言を呈してきた。4月の会見では、温室効果ガス排出量の実質ゼロ(カーボンニュートラル)目標の達成には、既存車両への対応も必要なことから、ガソリン車の販売禁止だけでは達成できないとの見方を示した。

  同氏はまた、二酸化炭素(CO2)と水素から製造する合成燃料はガソリン車でも使用できるため、日本が培ってきた技術が活用できると指摘。電気自動車(EV)の充電インフラ整備がされていない地域でもCO2削減が可能だと訴えていた。

  化石燃料に大きく依存した日本のエネルギー事情を踏まえて、豊田氏は9日の会見で「そのエネルギーを使ってつくった自動車は輸出できなくなってしまう」と述べ、カーボンニュートラルと国内雇用が密接に関連していることを訴えた。

  また、菅義偉首相の後継を選ぶ自民党総裁選についても触れ、「一部の政治家からは全てを電気自動車にすれば良いんだとか、製造業は時代遅れだという声を聞くことがあるが、私は違うと思う」と反論した。

 

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