ウォール街で米国株高の失速観測広がる、モルガンSは投資判断下げ
Anchalee Worrachate、Abhishek Vishnoi-
ネガティブな展開あれば急速なリスクオフの恐れとゴールドマン
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超強気のポジション、S&P500種の小幅下落でも損失に-シティ
絶え間なく上昇してきた米株式相場は失速しそうだとの警鐘がウォール街で強まっている。
ゴールドマン・サックス・グループとモルガン・スタンレー、 シティグループのストラテジストは、負の衝撃が米国株高を一変させる可能性について新たなリポートを相次ぎ発表。新型コロナウイルスのデルタ変異株の流行や弱まる世界景気回復、各国中央銀行によるコロナ禍対応の景気刺激策の終了に向けた動きが、いずれもリスクを突きつけていると警告した。
ゴールドマンのポートフォリオ戦略・アセットアロケーション担当マネジングディレクター、クリスティアン・ミューラーグリスマン氏はインタビューで「高いバリューエーションが市場の脆弱(ぜいじゃく)性を高めている」と指摘。「新たにネガティブな展開となれば、経済成長に衝撃をもたらし、急速なリスクオフにつながる」と予想し、「重要なのは、大きなネガティブサプライズが発生した場合、市場に緩衝材がほとんど残っていないことだ」と付け加えた。

シティグループのストラテジストらは、S&P500種株価指数のロングポジションがショートポジションを10対1に近い割合で上回る規模にあり、こうした超強気のポジションの半分は、指数が2.2%下落しただけで損失に直面する可能性があると分析。小幅な調整でもロングポジションの強制的解消によって増幅される恐れがあると警告した。
モルガン・スタンレーは7日に米国株の投資判断を「アンダーウエート」に、世界株式を「イコールウエート」にそれぞれ引き下げ、10月いっぱいまで経済成長に「特大のリスク」があることを理由に挙げた。クレディ・スイスは、極端なバリュエーションと規制リスクなどを理由に米国株の幾分のアンダーウエートを維持した。
Seasonal Headwind
September is the worst month of a year for stocks in last two decades
Source: Bloomberg
S&P 500's average monthly change
急激な売り浴びせの予測はないものの、夏の株価高騰により投資家は伸張し過ぎ、悪材料の兆しがあれば打撃を受けやすい状況にある。S&P500種は月間ベースで7カ月連続高と、2018年1月以来最長の上昇局面となっているだけに、季節的に低調な9月に株式相場が失速する機は熟していると見る向きは多い。
モルガン・スタンレーのクロスアセット・ストラテジスト、アンドルー・シーツ氏はブルームバーグテレビジョンとの8日のインタビューで、「デルタ変異株の高まるリスクや学校再開という状況で9月にデータが弱くなる時期があるだろう」と予想した。

原題:
Wall Street Braces for Stumble in U.S. Stocks on Relentless Tear(抜粋)