コンテンツにスキップする

船も完全自動運航に、陸から遠隔監視や操作で効率化-郵船など実証へ

  • 無人運航で人手不足や海難事故を解決、年間1兆円の経済効果試算も
  • 船舶の自動化では海運国である日本が世界にリードをー郵船子会社

国内で運航する船舶の半分を無人運航に。そんなSF映画のような壮大な計画の実現に向けた取り組みを日本郵船などの企業が進めている。

  造船、海運、通信、保険など30社が参加するコンソーシアムがこのほど、無人運航船の監視や遠隔操船を行う「陸上支援センター」(千葉市)を完成させた。2025年までの本格的な実用化を目指して7月から管理システムのシミュレーションなどを進め、来年2月には船舶交通が多い海域では世界初となる無人運航機能を使った実証を行う。

Inside the Autonomous Vessel Project's Support Center
陸上支援センターでのシュミレーション(26日・千葉市)
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

   同センターでは自動船舶識別装置(AIS)データや事故、気象などさまざまな情報を監視するほか、船舶のエンジン関係のデータを使って異常予知を行う。陸上支援センターにエンジニアや船長が常駐し、異常が発見された際には船に搭載された複数のカメラから送られる映像とAISなどのデータを使って操船することが可能な仕組みとなっている。

  同コンソーシアムの代表を務める日本郵船の子会社、日本海洋科学の桑原悟グループ長は26日のインタビューで、「海運国である日本として船舶の自動化については世界に後れを取らずにリードしていこうという強い志を持って取り組んでいる」と語った。

  自動運航船と自動運転車は「結構比較はされるが、僕らから見ると、全然似て非なるもの。だから課題も違ってくる」と桑原氏は語る。自動車は交通ルールに従って決められた道路の上を走るのに対し、船の操船では「危なくないと思えば、避けなくてもいい」など個人の感覚に頼っている部分があり、自動運航船の普及に当たっては国際ルールの策定が必要になる、としている。

  同プロジェクトを含めた無人運航船の推進に取り組んでいる日本財団は、40年に内航船の50%が無人運航船になるとの想定で、年間約1兆円の経済効果があると試算。船員の高齢化に伴う人手不足や全体の8割を占めるとされる人的要因による海難事故などの課題が解決できる、と同財団は期待している。

  そういった財団の思いは、さながらSFシリーズ「スター・トレック」や人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」に登場する宇宙船の艦内のような見た目になった無人運航船の支援システムにも反映されていると桑原氏は説明。SFのような設備を見た子供が「物作りって楽しいとか、船乗りってわくわくすると感じてもらえるように」との思いが込められているという。

  自動運航技術は英ロールス・ロイスなど海外企業も開発を進めている。桑原氏は、自動車と比べて市場が小さく、資金が限られている船会社にはメーカー側が主導して開発した高機能・高価格のシステムを導入することは難しいと指摘。海運会社も入った同コンソーシアムはそうしたことも念頭に開発を進めており、「社会実装という前提を置くと、僕らはトップを走っている」と桑原氏は言う。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE